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忍者side3 勇者side3 魔王side1


 忍者side3


 コガネとニセクロと美少女は依頼の確認を始めようとしていた。店から出て、宿屋の大衆室と呼ばれる場所の喧騒の中、二人の相談は始まった。

「というか、名前はなんなんだ? 話すにしても、知らないと不便だろ。教えてくれ」

 コガネは美少女に質問をした。依頼の確認、受諾、拒否、なにをするにも、必要な要素かもしらない名前を聞いた。まぁ、このまま美少女さんで進めても問題ないのかもしれないが。

「僕の名前ですね。えっと、ミドリです」

 依頼しに来た美少女改め、ミドリは、名前を答えた。名前にちなんで緑色の服を着ているのだろうか。というか、ここは日本ではないという細かいことは気にしてはダメだ。絶対。

「というか、俺は、帰っていいんだよな、帰るぞ、帰らせていただくぞ!じゃあな、コガネ」

 ニセクロは帰った。何処かへ。投げやりな雰囲気で、その大衆室を後にした。コガネやミドリからすれば、なぜついてきたのかの方が疑問だ。

「えっと、とりあえず、どんな依頼なの? それを聞かないと、俺も受けていい依頼なのか、受けないほうがいいのかが判断できないんだけど」

「依頼の内容は、この町の近くにある『鍵の在処』という遺跡型ダンジョンに潜って、その最深層にある鍵をとって欲しいんですよ。コガネさんだけだと、辛いレベルのダンジョンだと思うので、僕も付いていこうと思います」

「ダンジョンに出る敵の平均レベル、君の使える魔法、戦闘特技を教えて欲しい。俺が使える魔法は、隠蔽系、武器強化系。他にもあるけれど、それは機密事項。戦闘特技も機密事項で頼みたい」

「まぁ、大体は情報屋に調べてもらっているんで、わかりますが、触れないでおきますね。ダンジョンにいる敵のレベルはゴブリンレベルと、バットレベル。ただし高めの頻度で、上位種が出るらしいですね。僕の魔法は、疲労回復、体力回復が地脈からの流用魔法で使えます。それと、炎系魔法が瓶抽出魔法で使えます。戦闘特技は伏せさせていただきたいです」

「地脈流用魔法とは、レアな魔法を持っているね。上位種次第だけど、二人入ればいけそうだ。とりあえず、ダンジョンまでの地図とあればダンジョン内部の地図を頼む」

「わかりました……」

 こうして、依頼は受けられていく。人々が交差しているのも知らずに、世界は廻る。

 こうして、忍者と依頼者たちの物語は明日へ繋がる。


勇者side3


 フウセン達の一行は、コガネやニセクロがいた町に着いた。何かのめぐり合わせなのか、ただの偶然なのかは誰にもわからない。

「少し活気が少なめな町ですね。荒くれ者が少なそうな印象があります」

 自分たちの影響でそうなったとも知らずに、フウセンは呟いた。仕事がないときは、酒を飲む頻度も少なくなる。荒くれ者は、静かに飛び立つ時を待っているのだろう。

「それもそうだねー国の中心部から外れるほど、活気が少なめな印象があるねー」

 的はずれなことを、アカネは言う。これをニセクロなどが聞いたら、躍起になって反論をしてくるだろう。

「というか、私たちの旅が長くなるほど、活気は減っている?」

「まさかそんなことはないでしょう。人助けもかなりしていますし。僕たちが通った町は、活気が出ていると思いますけどね」

 そのまさかだと知らず、フウセンは軽はずみなことを言う。

「というか、明日も早いしねー早めに宿屋にいった方がよくない?」

「同意……」

 アカネの提案を、ソラが同意する。

「それもそうですね。ですが、明日はいつもより遅めに出ましょう。初めて遺跡型のダンジョンですけど、遅めに出ても問題はないはずですよ」

「なんで?」「本当に大丈夫?」

 二人が疑問の声を上げた。同時に、

 街の商店街に入った。

「明日は、今日の疲れをゆっくりととってから、この商店街で物資補給をしてから行きましょう。いくら急いでも、入ってしまっては中は暗いので、早く行く必要はないと思います。それなら、ゆっくりしていきましょう」

「なるほどねー」

「了解した……」

 フウセンの提案を、ソラとアカネは同意する。何も問題はないだろう。眠る時間が遅くなるのはいつものことだ。

 こうして、勇者たちは商店街にある宿屋に入った。大衆用の酒場から、話し合ってる声が聞こえる。

「夜分遅いのに、人がいますね」

 軽く世間話をするようにフウセンが言う。

「そうだねー」「同意……」

 と、二人が肯定的なことを言う。そしてアカネが、

「状況も聞きたいけど、眠いし、早く寝ようよー 明日遅いっていっても、物買ってから行くんだから、結構早起きしないとでしょ?」

「そうですね」

 と、フウセンが同意して、宿屋の手続きを始めた。そうして部屋に入り、三人は眠りについた。

 こうして、勇者たちも明日へ繋がった……


魔王side1


 厳粛な雰囲気とは程遠い、喧騒と、飯の臭いに包まれた魔王城の一室。人間から見ればゲテモノで本当に食えるのか? という食べ物まで並んでいる。そこで。魔王は対勇者会議を開いていた。名目上は会議なので、酒は禁止されている。酒を飲むと暴れだすものが後を絶たないからだ。そして、その場所の頂点にいたのは……先刻コガネと話していたニセクロだった。

 たどり着くのが早すぎると思っただろう。だが、この世界には、魔法という便利なものがある。

「魔王様、魔王城にいる時に、人間への擬態はおやめください」

 側近、だろうか? 気が強そうだが、整った女の顔の魔物。その人が、ニセクロに提言した。

「チッ、わかったよ」

 お前だって、人間の顔をしているだろうに、と、一瞬思ったが、それは自分が命じていることだった。ボケが始まったかなーと、軽く考えながら、魔王は自分の顔を変える魔法を使い始める。

ニセクロと言い切れた顔が、少しずつ、段々と、謎の造形になる。世間一般に魔王と評される顔になる。

「それで、勇者の動向はどうなんだ? 罠にはかかりそうか?」

魔王が質問する。魔王は人間の街に視察に出ていたので、勇者の視察は部下に任せていたらしい。

「私の視察部隊が、獣の人海戦術で情報集めと疲労蓄積の準備をやっておいたわ。現在勇者パーティーは、ダンジョン『鍵の在処』に近辺する町『国の外れ』に到着したわ。ゴブリンの配置も終わっている」

 先程提言した人が、ニセクロに言った。勇者視察の部隊を任されていたのは、この女性のようだ。

「おう、シース。ありがとう。ということで、お前ら! 明日勇者向けの大型魔物を配置しようと思う。配置は、以前決めたとおりだ。この遠征で、勇者を倒せば、魔王軍には、数年以上の安泰な日々が戻ってくる。多少の犠牲はでるかもしれない。だが、魔王軍の未来のため、耐えて欲しい!」

 魔王の勇者を倒す演説を最後に、魔王軍の短い会議は終わった。報告と、前日の気合を入れただけで、会議とは言えない代物は終わった。その後、明日仕事がない魔物は肉と酒に溺れ、仕事という名の殺しをする魔物は、早めに部屋に帰る。早めに寝たほうが、殺しの効率は上がる。単純な考えだけではない、魔王軍であった。そうして、ニセクロやシースも、床についた。残念ながら別の寝室だ。

 魔王たちも、明日へつながることになった。

これで、勇者、忍者、魔王は明日という日に、足を踏み入れることとなる……


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