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クラスの美少女から謎のプレゼントをもらった話  作者: 西川ペペロン


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第6話(終)

「き、消えた……」

「どうやら今回は、本当にただの下見だったようですね」

「下見というか、チラ見して帰っただけのような気もするけど」

「でもあの男、グスコードを侮ってはいけません。今日のこれは、一種の宣戦布告……明日から始まる、本格的なノスフェル帝国の侵攻。その挨拶代わりみたいなものでしょうから」

「そういえば佐倉さん。この姿からの変身解除って……」

「ああ、簡単ですよ。また同じように、左右のボタンを同時押しするだけです」

「なるほど、ありがと」


 佐倉さんから方法を聞き、俺はすぐに腰の両側にあるボタンを同時押しした。


 すると驚く事に。

 俺の全身を覆っていたはずの重厚でメタリックな装甲は、まるで幻だったかのように、瞬時に消滅してしまう。


 後に残されたのは、至って平凡な男子高校生である俺自身の姿。

 ただそれだけだった。


「つーか佐倉さん。さっきアイツが言ってた、明日っていうの……あれ、マジなの? 本当に明日から攻めてくるわけ?」

「はい、恐らくは事実かと。明日から連日、帝国による各地での破壊活動が行われる可能性は、極めて高いと言えます」

「連日って……マジで?」


 割とタイトなスケジュールに、俺がドン引きし始めていた、その時。


「高井君。これから頑張りましょうね」


「は……? 頑張る? 何を?」

「決まってるじゃないですか。ノスフェル帝国との戦い、他に何がありますか?」

「え……ちょっと待って。ホントに、この俺が戦うの?」

「もちろんです! 高井君に宿るハイパーギャーン因子、その力をどうか、私たちのために使って下さい!」

「いやいやいや! 待ってよ、俺の意見はガン無視なの⁉ それに俺、運動部でも無いし。何よりそんな、戦いとか出来るわけないじゃん!」

「それに関しては大丈夫です! 初めはみんな初心者。私自身はもちろん、戦団の方でもサポートやバックアップはしますから!」

「バックアップとか、そういう問題じゃなくね⁉ さっきみたいな、紫のバケモノとかと戦うんでしょ? そんなの俺に、勝てるわけないじゃん!」

「私、エージェントとして何でもしますから! 高井君がこれから日々、バルギャーンとして戦えるよう、誠心誠意サポートしますので!」

「いやだから、サポートとか、そういうレベルの話をしてるわけじゃ……!」


 流石に熱くなってきて、俺が思わず強く言い返そうとした――直後。


「えっ?」


 佐倉さんはいきなり、こちらへ歩み寄ってくると、俺の手を取り、しっかりと握り締めた。


「さ……佐倉さん⁉」


 俺が動揺したのは、言うまでもないだろう。

 柔らかな佐倉さんの両手が今。なんと、俺の両手を優しく包み込んでいるのだ。


 加えて、佐倉さんは再び、俺の顔をじっと見つめてくる。

 だが今回の眼差しは、今までのものとは破壊力が段違い。

 手と手が触れ合うほどの近距離まで、佐倉さんの綺麗な顔が、俺の方へと迫ってきている。


「さ、さくっ……」


 さっきまで俺は、佐倉さんによる怒涛のマシンガントークに押されながらも、何とか反論して、この場を乗り切ろうと必死だったはず。


 だが今は違う。

 こんなにも、至近距離まで近付いてきた佐倉さんによって。

 俺は、この校舎裏に来た当初と同じく、期待と興奮でテンションがすっかり急上昇していた。


 今じゃむしろ、佐倉さんとお近付きになれるなら、何だってしてあげたい。

 俺なんかで良ければ、佐倉さんの助けになりたい。


 自分でも欲望に正直すぎるし、安直だなとは感じるものの……

 確かに俺は今、頭の中でそんな事を思い始めていた。


「お願いします。本当に、どうか……」

「……サポートとかバックアップ、本当にしてくれるんだよね?」

「えっ?」

「俺、別に運動神経とかも良くないし。佐倉さんとか、その、戦団? って人たちには、だいぶ助けてもらう事になると思うけど……」


 俺の言葉を聞き、徐々に佐倉さんの表情は明るくなっていく。

 どうやらちゃんと、俺の言いたかった意図は伝わったらしい。


「それなら任せて下さい! まだ慣れない高井君のためにも、私たちが全力でサポートしますから!」

「そう? だったら助かるけど……」


 俺は頬をかきながら呟く。

 正直まだ恥ずかしさや戸惑い、葛藤や困惑。それらは決して拭い切れてはいないけど。


 それでも今、目の前で佐倉さんが、俺に微笑んでくれる。

 俺を必要としてくれている。

 それだけで不思議と、今の俺にはもう充分だと思えた。


「では改めて。これからよろしくお願いしますね、高井君!」

「うん。こっちこそ、よろしく……」


 笑顔で俺に挨拶をする佐倉さん。

 そんな彼女に俺もまた、ぎこちなく、だけども笑い返すのだった。




 斯くして俺、高井伸二郎の日常は、一つのプレゼントによって大きく変わり始めた。


 ただの平凡な高校生から一転、魔甲の戦士バルギャーンへ。

 これは特撮じゃない、フィクションでもない。

 俺は本当に、信じられない力を手に入れてしまったのだ。


 この先、俺の身に何が起きるのか。どんな運命が俺を待っているのだろうか。


 それは俺にも、いや佐倉さんにも、きっと戦団のどんな人であろうと。

 まだ誰にも、決して分からない事なのだ――





 新番組「魔甲戦士バルギャーン」

 第一話「日常の終わり、運命の始まり」完


 第二話「恐るべき先輩、もう一人のバルギャーン登場!」へ続く――(続かない)

最後まで読んで下さって、本当にありがとうございました!


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