表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスの美少女から謎のプレゼントをもらった話  作者: 西川ペペロン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/6

第5話

 数秒後。もしくは数分後だったかもしれない。


 轟音、そして眩しい光が完全に収まったのに気付き、俺がゆっくり目を開けてみると――


「ん? ……んんっ?」


 俺は妙な違和感に、すぐさま両手で、顔の各所を触ってみる。


 まず一つ目の驚き。

 いつの間にか俺の頭部全体は、ヘルメットのような何かの装甲で包まれていた。

 そのため視界も今は、重厚なバイザーのようなもので完全に覆われている。


 そのまま視線を落とし、自分の全身を見てみると、更なる驚きが俺を襲う。


 両腕、両足。いや、全身のあらゆる部位。

 それらが今、青を基調とした派手な蛍光色っぽいカラーリングの、ゴテゴテとしたヘビー級の装甲のようなもので、全身ガッシリと覆われていたのである。


 端的に言うならば、メタリックな青いフルアーマー。そんな外観であった。

 だが一方で、見た目的には重装備だというのに、そこに重量感は殆ど感じないのが不思議で仕方がない。


 そして俺は自分の姿をじっと見て、率直に、思った事を口に出す。


「マジか。俺、ヒーローのスーツ着てんじゃん……」


 パニックにもならず、興奮する事もなく。

 冷静に事実を述べていた自分に、我ながら少し驚かされる。


 アレか? 今までの、佐倉さんとのツッコミ甲斐のあり過ぎるやり取りのせいで、心の準備というか覚悟というか。

 それらが充分に出来ていたせいだろうか?


 特撮番組そのままの、ヒーローへの大変身を遂げたというのに、俺自身はぶっちゃけ、ドン引きにもハイテンションにもなってはいなかったのだ。


「凄い、本当にバルバルチェンジを成功させた……しかも、ここまで完璧に!」


 その声に俺が視線を上げると、佐倉さんは今、心から嬉しそうに興奮していた。

 まるで念願が叶った、と言わんばかりの、歓喜に包まれたような表情である。


「え、何? このバルバルチェンジって、そんなに凄い事なの?」

「もちろんです! 本来、装着者のギャーン因子レベルが低ければ、ギアからの強烈な拒絶反応がありますから」

「拒絶反応?」

「でも高井君にはその反応が無かった……即ち、それが貴重なハイパーギャーン因子保有者だという何よりの証です!」

「ごめん。その拒絶反応っての……何?」

「簡単ですよ。条件に満たない者がギアを使用した際に起こる、副作用のようなものでして。具体的な例だと、過去には確か……全身を炎に焼かれ、再起不能の後遺症を負った方がいたような」

「再起不能⁉ 怖っ! つーか俺に今、そんなヤバいもの使わせたわけ⁉」

「安心して下さい。高井君の持つ因子レベルなら、元々チェンジの成功確率は七割を超えていましたから!」

「七割⁉ 失敗の可能性も、割とあったって事⁉」

「ですが結果として、バルバルチェンジは成功しました! なら、それで充分じゃないですか!」

「いやいやいや! いくら何でも結果論すぎるでしょ、流石に……」


 全身にメタリックなスーツを着込んだ俺と、興奮している佐倉さん。

 俺たち二人が、噛み合わない問答を続けていた――その時。


「いやぁ、素晴らしい。君の因子レベル、どうやら確かに本物のようだね」

「えっ?」


 不意に。

 どこからか、知らない男の声と、パンパンと何度か手を叩くような音が聞こえてきた。


 俺は怪訝な顔で振り返り、佐倉さんと共に、声のした方を見てみる。


 俺と佐倉さんのいる位置から、少し離れた場所には、一本の木があったのだが。

 今、その木の傍には、一人の若い青年が立っていた。


 ちなみに。その青年が唐突に現れた事に対して、俺はもういちいちツッコミを入れる気にもならなかった。

 ツッコミたい事は他にもまだ、山のように溢れていたからだ。


「うわ、絶対同類でしょ、あれ……」


 俺は青年の姿を見て、思わず、呆れたように小声でボヤく。


 その青年の外観は、あまりにも、コスプレそのものだった。

 西洋風なスーツに赤黒いマント、髪は紫色に染められ、何となく目にはカラーコンタクトを付けているように見える。


 その容姿を端的に言うならば――

 少し気恥ずかしいのだが、闇の貴公子、とでも表現するのが恐らく適切かもしれない。


「グスコード、いつからそこに!」

「ああ、やっぱり。佐倉さんの同類か」

「同類なんかじゃありません! 奴の名はグスコード。ノスフェル帝国の上級幹部である、暗黒四天王のうちの一人……つまり、私たちの宿敵そのものです!」

「宿敵だなんて、そんな悲しいこと言うなよ。戦団のお嬢さん?」

「馴れ馴れしく呼ぶな! この、悪鬼外道の集団め!」

「ふん、つれないねぇ。今日は僕も、あくまで下見に来ただけなのにさぁ」

「下見?」

「そう。これから戦う事になるであろう、新たな好敵手。その姿を軽く、一目見たかっただけなんだから」


 謎の青年グスコードはそう言って、ニヤリと笑みを浮かべる。


 次の瞬間。突然、青年の全身が紫色の炎に包み込まれた。

 轟々と燃え上がる紫の炎。

 それを見た俺が慌てふためいていると、すぐに炎は収まり、その中から――恐るべき怪物が姿を現した。


 紫色に覆われた巨大な全身、凄まじく立派な角と牙。

 そんな怪物なのに、先程までの人間の姿と同じく、今でも赤黒いマントは変わらず背に付けている。


 その怪物は軽く足を交差させると、ギョロリと血走った瞳で、装甲に包まれた俺の顔を睨みつける。


「えっ⁉ ちょ、何あれ⁉」

「落ち着いて下さい、高井君。これこそが奴ら、ノスフェル帝国の連中の真の姿。むしろ人間態の方が、世を忍ぶ仮の姿なんです」

「そういう事。君……えっと、君は……」


 少しエコー掛かった声で、平然と人間っぽく話す、怪物グスコード。

 そんな相手に俺は、とりあえず普通に答えを返す。


「あ、高井です。高井伸二郎……」

「高井伸二郎、ふん、なるほど。悪くない名前じゃないか」

「はあ、そりゃどうも」

「では高井伸二郎、また会おう。明日から始まる、君の地獄の日々。それを楽しみにしているよ……」

「は? 明日? ちょっと、それどういう……うぉっ!」


 俺が質問するよりも先に、怪物と化した青年グスコードは、自らの大きなマントを翻した。


 すると彼の体はいきなり、突風のようなものに包まれてしまい、あっという間にその全身は、吹き荒れる風と共に、跡形もなく消え去ってしまった。

読んで下さってありがとうございます!


感想や評価、誤字報告なども含めて

是非お気軽にどうぞ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ