表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスの美少女から謎のプレゼントをもらった話  作者: 西川ペペロン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/6

第3話

「佐倉さん、あの」

「はい! 戦ってくれるんですね⁉」

「いや、そうじゃなくて。もしかして、これ……ドッキリか何か、だよね?」

「え」

「佐倉さんの友達が、今もカメラで撮影とかしてて。運悪く俺は、そのターゲットにされただけ、みたいな……」


 軽い調子で言いながら、俺は周囲を眺めてみる。

 だが建物の陰、木々の近く、どこにも人の姿は見当たらなかった。


 いや、だとしても。最初から俺自身、ドッキリの線を疑うべきだったのである。


 クラスのマドンナである佐倉さんが、俺を呼び出し、二人きりで告白のようなシチュエーションを始める。

 そんな都合の良い話、容易く起こるはずもないのだ。


 これはドッキリ。佐倉さんはただ、誰かに頼まれただけの仕掛け人。

 そして人影が無いなら、隠しカメラの可能性だってある。

 そう考え、俺が再び辺りを見回そうとした、次の瞬間。


「……ひど過ぎます」


 消え入りそうな呟きを耳にし、俺はすぐさま視線を戻す。


 すると、そこには――辛そうな面持ちで俯いている、佐倉さんの姿があった。

 彼女は気持ちを抑えるように、言葉を続ける。


「私、嘘なんかついてません……高井君ならきっと、戦況を変えてくれる。私たちの救世主になってくれると、本気で、思ったのに……!」

「えっ、ちょっ……さ、佐倉さん⁉」


 彼女が見せた、予想外の反応。

 その、あまりにも悲痛な表情を目にした俺は、大慌てでフォローを入れるしかなくなる。


「ご、ごめんって! 別に俺、何も佐倉さんを嘘つきだとか、そんな事は思ってないし!」

「では、信じてくれますか?」

「えっ、いや……それは、流石に」

「信じてくれないんですか⁉ これだけ全て、何もかも話したのに⁉」

「あぁ、もうっ! 分かった、分かったって! 信じる、信じるから。ホントに」

「……本当、ですよね?」

「ホントのホント。ギアとか、戦団とか、なんとか帝国とか。どれもマジに信じるから。もう絶対、オモチャとか演技だとか言わないからさ……」


 必死になだめようとする、俺の気持ちが伝わったのだろうか。


 佐倉さんはようやく、俺もよく知る平常時の、おしとやかな雰囲気に戻ってくれた。

 それに俺は少し安堵し、大きな溜息をつく。


「……」


 イマイチまだ状況が掴み切れていないが、それでも少し考えてみる。


 佐倉葵――彼女はヤバい。

 さっき俺は「猪狩のような」なんて言ったが、それは大きな間違いだったと、今は強く思う。


 あの猪狩だって流石に、フィクションと現実との区別はついている。

 あいつは大の特撮オタクではあるが、あくまで愛しているのは特撮番組なのだ。

 現実にヒーローがいるとか、ベルトのオモチャで自分も姿が変わるとか、そんな事は流石に思ってはいない。


 そもそも、そういうのが許されるのは、せいぜい幼稚園児くらいまでのはずだ。

 それが当たり前、世の常識だと思う。


 なのに、目の前にいる佐倉さんにはどうやら、それが当てはまらないらしい。


 さっき俺がドッキリを疑った時、佐倉さんは分かりやすいくらいにショックを受けていた。

 俺が変わらず追及していたら、最後には涙目になっていた可能性さえある。

 それだけの「本気っぽさ」が、今の彼女にはあったのだ。


「何なんだ、これ……」


 眼前に佐倉さんがいるというのに、俺の口からはそんな、疲れたような小声が漏れる。


「……つーか佐倉さん。こういう話、他の人にもしてるの? 戦団とか、例の、バルギャーンとかさ」

「いえ、それは全く」

「全く?」

「必要な場合を除き、戦団やノスフェル帝国に関する情報を外部に漏らすのは、協定違反なんです。だから私も、戦団のエージェントではありますが、普段は徹底して、一般生徒を装っています」

「ああ、そう……」


 俺はぶっきらぼうに相槌を打つ。


 既に、三十分ほど前の期待感やテンションは、もう殆ど失われている。

 今俺の頭の中にあるのは、一刻も早くこの話を切り上げる方法、ただそれだけだった。


 まあ、そのためには全否定しても始まらないのかもしれない。


 ある程度、適当に佐倉さんの話に乗ってあげて、彼女をたっぷり満足させた方が、より早く帰宅できるような気もする。

 なので俺は仕方なく、もう少しだけ、この「なりきりトーク」に付き合う事にした。


「とりあえず佐倉さん。まず、デカい質問、一つ良い?」

「はい、もちろんです。是非どうぞ」

「そもそもさ、何で俺を選んだの? 繰り返しになるけど、こういうタイプの話なら、絶対に猪狩の方が適任でしょ。あいつなら聞いた途端、任せろ……俺が世界を救ってやる! くらい言うだろうし」

「理由は単純ですよ。そのバルギャーンギアは、誰にだって扱えるような、簡単な代物ではないので」

「どういう事?」

「まずですね。ギアを起動するには、装着者が体内に、ギャーン因子を宿していなければ駄目なんです」

「ギャーン因子……」

「しかも、それだけじゃ足りません。魔甲戦士バルギャーンへの、完全なバルバルチェンジには、よりハイレベルな因子、ハイパーギャーン因子が必要不可欠なんです」

「……」

「高井君、どうかしましたか?」

「いや、さっきから出てくる固有名詞、全て死ぬほどダサいなと思って……」

「――私は特に、そうは思いませんが」


 何食わぬ顔で平然と、当たり前のように言い切る佐倉さん。


 正直ツッコミの一つも入れたくなったのだが、ここはあえて気持ちを胸にしまい、俺は更に話を続ける。

読んで下さってありがとうございます!


感想や評価、誤字報告なども含めて

是非お気軽にどうぞ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ