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19話: 試練の塔:共鳴する影
階段を登り切った先は、静まり返った黒い空間だった。
床には影が揺れ、人影のような輪郭がゆらゆらと漂っている。
「これは……俺たちの“影”か?」
慧は影の動きを分析し、その揺らぎのパターンを読み取る。
影は、参加者自身の精神構造を反映し、心の奥底に隠した弱点を象徴している。
対峙するには、己の影と向き合う必要があった。
雫の前には、小さな少女の影が揺れていた。
「……これ、私?」
少女の影は雫の特異体質が目覚めた日の記憶を象徴している。
彼女は影を見つめ、静かに受け入れた。
慧の影は、計算と冷静さに覆われながらも、どこかで感情を恐れる自分の姿だった。
慧は一歩踏み出し、影と目を合わせる。
「逃げない。俺は俺の弱さを認める」
影は静かに収束し、二人の足元から消える。
空間が淡く光り、次の領域へと続く扉が姿を見せた。




