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第六話 身体検査

「失礼します。」


僕は自分の番になったので医務室に入る。


だが、そこには医師も、看護師も協会の人間もいなかった。


「諸事情により、君を含めた五人の奴隷たちの身体検査を行うことになったウィリアムだ。少年、先程はすまなかったな。」


代わりにいたのは僕のことを天才だとか言って謎を作ったあのウィリアムである。


「なぜ騎士様がこのようなことを? ああ、もしかして騎士様も知らなかったのですか? 説明会で僕のことを天才だといった理由が分からなかったのでまた聞きに行こうと思っていたのですが。」


ちょっと不満のある相手だったので、

「説明会で理由が分からなかったけど説明会の内容を本当は知らなかったんじゃないの? 騎士が検査をするなんて聞いてなかったけどあなたが知らなくて僕たちに伝えられなかったんじゃないの?」

という意味の嫌味を言っておく。


だが悲しいことに騎士はそれをスルーしてしまった。


「今、すごい嫌味を言われたような気が……いや、気のせいか。ところで私がここにいる理由だが、簡単に言えば、部外者に君たちの情報を渡すわけには行かないからだな。」


まあ、僕にとってもスルーしてくれたのはありがたい。この国の武力を確認するまではヘタなことはしないほうがいいからな。万が一、億が一と言ったこともあり得る。


「君たちは、五人の王子、王女に指名されてこの場にいる。そんな君達の情報を管理できるのは傍系の王族に使える代表騎士でギリギリなのだ。」


思った以上に政治的な理由だった。だが、これは好都合だ。

要するに僕を奴隷にした中心人物はその五人ということだろう。

王子王女が指名ということだと、国王夫妻も関わっているかもしれない。

他の四人も味方につけられれば、その四人を通して復讐が可能かもしれないな。


「聞きたいことは以上か?」


「はい、騎士様、ありがとうございます。」


ウィリアムからなかなかに情報を得ることが出来たな。

失神してダットンに看病されたときは失敗したかと持ったが、逆に良かったかもしれない。


「では、検査をしよう。まずは、この魔道具の中に入ってくれ。」


そう言われたのでウィリアムが指を指した箱型の魔道具の中に入る。


「これは何をしているんですか?」


「肉体のサイズの検査だな。身長、体重、ウエストなどを測っている。服を将来作ってもらうときに必要になる。」


「看護師の役割ですか?」


「そうだ。私のような代表騎士にでもなってくると身体検査のようなことは自分でできて当たり前だからな。本当は解析魔法で身長、体重も計るのだ。」


なるほど、騎士ならば自分の状態くらい把握して当然というわけか。

あれっ魔力検査で解析魔法の適性がなかった場合はどうすんだろう?


「不思議そうな表情をしているな?。何か気になることでもあったか?」


顔に出ていたらしい。ウィリアムに悟られてしまった。

仕方がないので聞くことにする。

隠しているのも逆に不自然だろう。


「いえ、解析魔法というのは魔力適性の関係なく使えるのですか?」


「ああ、君は何か勘違いをしているな。魔力適正というのは効率を表す数値であって、適正がなければその魔法が使えないというわけではない。解析魔法のような魔力の特性を活かした魔法は誰でも使える。」


そうだったのか、魔法に関することは何も知らないも同然だからな、知ることが出来てよかった。


そこまで考えて僕は気づいた。

さっきから僕の知らないことが多い。


考えてみれば、僕にあるのは閉鎖的な孤児院で過ごした記憶と、自分でも詳しくは前世の記憶である。

僕がやるべきことは情報収集になりそうだ。


僕は前途多難な状況にため息を付いた。


「終わったぞ、身長154センチ、体重45キロだ。その他も紙にメモしておいたぞ。」


「あっありがとうございます。」


「お前がどんな形で王族に仕えることになるかは知らないが、騎士でトップを目指すなら解析魔法は必須だ。」


アドバイスもしてくれる。

この騎士はどうにも面倒見がいいようだ。


「次は、解析魔法で病気の有無と、筋力量、持久力などを調べる。その中から出てきて足と腕を少し開いた状態で立っていてくれ。」


「はい。」


僕わ言われた通りにする。

すると、ウィリアムの体から何かオーラのようなものが僕の体に向かって流れ始めた。


不思議な感覚がする、五感からは何も感じないのに、別の部分で自分の体を()()()()している何かを感じる。



「おや、気がついたか随分と感受性が高いな。神格持ちでもなければ悟られない腕だと思っていたのが。」


ああ、神格持ちね。確かに僕は神格持ちだ。


・・・・・・・・・うん?


まずい、と思ったときには遅かった。


「なっなんだこの筋力量は!? 身体能力が以上に高い!! まるで神のような。やはり天才……。」


そうだったのかー

僕は現実逃避をしようとしてしまう。


身体能力が上がっているなんて自分では全く気づかなかった。

こんなことならゼントをさらに問い詰めるべきだったのかもしれない。


ただ……


「やはりって、どういうことなんですか? 前にも言ってましたよね僕は天才だって。」


まだ僕が天才だと言われた理由を聞いていない。


「そっそれは、やはり誤魔化しきれんか、君はなかなかに聡明なようだからな。」


どうやらやっと説明してくれるようだ。


ウィリアムは神にさらに身体能力の諸事項を書いた後でこちらに向き直って話し始め

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