表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
過去への扉がひらくとき  作者: 成規しゅん
FNo.01 ミヤベ セイト
2/143

第1話

 -明日の夜、仕事終わりにあの公園で会えませんか? 返事待ってます-


 五月二十二日 日曜日の夜、僕は一時間前にきていた田仲華里那たなかかりなからのメッセージを開き、返信をする。


-分かった。仕事終わりに向かうよ-


トーク画面の背景に映る二人の女性。可愛らしくこちらに笑いかけている。


 夕食後の片づけを終え、濡れた手を服で拭きながら、もう一度スマホの画面をつける。華里那からのメッセージが一件届いていた。既読をつけ、お辞儀をするスタンプを返す。トーク画面を閉じる前には、もう既読の二文字がついていた。


 飲みかけの炭酸飲料が入っているペットボトルを冷蔵庫から取り出し、その足でソファに近づくと、丸い姿勢の飼い猫ミミが「ミャァ」と甘えてくるような鳴き声を上げた。そんなミミの頭をやさしく撫でる。ミミは短く「ミャ」と鳴いた。


テレビの電源を入れると、社員の間で話題になっているドラマの放送が始まったところだった。第一話から観ているわけではないが、ドラマのあらすじや展開など、話がよく耳に入っていたために大まかな内容は知っていた。そのドラマを観る必要はないが、他のチャンネルに替える気にもならず、ただぼんやりと画面を眺める。


テレビの音が気になったのか、ミミがすぐ隣にやってきて、テレビ画面に顔を向けて座り直す。


「ドラマ観たいの?」

「ミャ」

「このドラマ面白い?」

「ミャァ」

「そっか、面白いか」


集中している様子のミミをそっと抱こうとするも、ソファから俊敏に飛び降りてしまい、のこのこと歩いて生活スペースへと戻られてしまった。


「もう少し触れさせてよ」


聞こえないことを前提で一人寂しく呟き、ペットボトルに入っていた炭酸飲料を飲み干した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ