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過去への扉がひらくとき  作者: 成城諄亮
FNo.07 支配人 カノウ
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第32話

 七瀬ゆず奈様が現代に戻られてから数日の間に、次なる依頼がわたくしの元に届きました。その依頼主は、ファイリングナンバー4番の、山下柚美様でした。


 山下柚美様がわたくしをお呼びになられた際、そこで一緒に居られたのが、まさかの、つい先日会って、お別れをしたばかりの、七瀬ゆず奈様でした。


お互いにとても驚きました。こんなにもすぐに再会を果たせるとは思ってもおりませんでしたし、人間というのは、やはり意外と狭い世界に生きているのだと、改めて感じられた瞬間でしたからね。


この再会を絶好のチャンスだと考えたわたくしは、あのことを伝えました。すると、その場におられた山下柚美様もですが、七瀬ゆず奈様は大変吃驚されておりました。


 依頼主の山下柚美様は、いなくなったお母様をお探しになられている途中で、わたくしに依頼を下さったのですが、お探しになられているお母様のことを知ったとき、わたくしは七瀬ゆず奈様以上に吃驚しました。まぁ、周囲の状況を鑑みて、そこまで大きな声は出しませんでしたが・・・。でも、それぐらい驚いたのです。


その理由というのはですね、山下柚美様のお母様は、わたくしの両親が経営していたカラオケ兼スナック加水様にて、アルバイトとして仕事をされていた、あの貝津海様だったのですから。


 貝津海様はご結婚され、山下海様として、柚美様と虎太様というお二人のお子さんをお育てになっておりました。そして、現在はカラオケ兼スナック加水様の経営者として、立派にお仕事をされているのです。まだ加水様が店として続いていることに、わたくしは強く、深く感銘を受けました。わたくしの両親の意向を継いでくれたのだと、感謝の気持ちでしかありません。


 娘の山下柚美様は、大学生の頃の海様と瓜二つでした。お母様である山下海様の気持ちを想い、そしてご家族のために、娘の山下柚美様が過去に戻りたいと願われたとき、わたくしは嬉しかったのを覚えています。大切な家族のために。その想いは山下海様から山下柚美様へと受け継がれていたのですから。


 山下海様は大学生の頃から、思いやりと感謝の気持ちを常に持ち続けておりました。そういう方の周りには、呼ばれなくても自然と人が集まるのです。そして、その方は娘の柚美様へも受け継がれているように感じました。だからこそ、終夜綾音様とすぐに打ち解け、そしてお母様を探してくれた周りの方への感謝も忘れない。親子って素晴らしいものだと、一人関心してしまいました。

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