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過去への扉がひらくとき  作者: 成城諄亮
FNo.07 支配人 カノウ
137/143

第30話

「七瀬ゆず奈様。わたくしは貴方のお母様である七瀬京香様から大切なものを奪ってしまいました。それは、お父様である七瀬平司様に関する記憶です。七瀬京香様のみならず、七瀬平司様と関わりのある方々からも、七瀬平司様がこの世に存在していたという記憶を消してしまいました。わたくしに与えられた任務とは言え、自分自身の身を護るがために、このようなことをしてしまい、誠に申し訳ございません。


七瀬ゆず奈様は、今ごろ、なぜ私だけお父さんに関する記憶が消えなかったのだろうかと、不思議に思っていることでしょう。その答えとしては、わたくし一個人の想いからそうなっているのです。


わたくしは、貴方のお爺様にあたる七瀬英司様という方の下で働いておりました。七瀬英司様は、息子である七瀬平司様のことを自慢気に話されていることが印象的な方で、いつもは取っ付き難い方なのに、七瀬平司様のお話ともなると、嬉しそうに笑みを浮かべるのです。その時の笑顔が忘れられず、娘さんである貴方にだけは、七瀬平司様が生きていらっしゃったことを忘れて欲しくありませんでした。そのために、七瀬ゆず奈様の記憶からは、お父様がいたという記憶を消さなかったのです。


しかし、そのことでお母様や親族の方と何度も衝突され、苦しく、辛い思いをされてきたことだと思います。それは、貴方の責任ではなく、わたくし自身の責任なのです。十五年もの間、黙っていて申し訳ありませんでした。


貴方が生きるこの先の世界が、明るく照らされていることを願っております」

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