ここが人生最後の交点
桜の木が目覚め始め、少しずつ蕾が目に見えて分かるようになってきた。
来年はもう、この景色を一人で見ることになるのだろう。
卒業おめでとうございます、先輩。
意外とスーツ似合ってますね。
今度こっちに帰ってくるときは、何か美味しいものくださいね。
一輪だけ咲いていた桜の花びらが舞ったと同時に、先輩の顔は私を見つめて微笑んだ。
「お、ありがとう。いいよ、何か良い物持って行ってあげる」
私をまっすぐ見て笑う先輩に、
「行かないでください」
なんて言えなかった。