俺と向井による勝負
腕相撲で優勝した俺は舞と和樹のいるグループの席に戻った。席に戻った後も生徒の視線が俺に突き刺さる。腕相撲は優勝したけどまだ気は抜けないんだよなー。三年生の計画を壊すまでは。
「次のテーブルゲームはこちらのカードでゲームをしていただきます。ゲームの内容はこちらで指定したカードを引いた人の勝ち。それだけです」
親睦会の担当である小泉先生が言った。
「このゲームも腕相撲同様各グループでゲームをしてもらい上位一名が決勝というかたちになります」
テーブルゲームもなかなか楽しそうなものが多いな。このゲームなら舞もできるだろうからみんなで楽しくできるな。数人を除いてだけどな。
「私はやったほうがいいのよね?」
舞が俺のほうを向いて聞いてきた。
「ああ頼む。できるだけ楽しむようにな」
俺は舞のほうに向いて軽い笑顔で言った。楽しくやってもらえれば気づかれずに済むし何より楽しいに越したことはないからな。
各グループにカードが配られて各々ゲームを始めた。俺たちのグループも始めた。カードをシャッフルしたのは三年の女子生徒だ。女子生徒はそれぞれの場所に七枚ずつ配って真ん中には残ったカードを置いてゲームを開始した。
ゲームが終わり優勝したのは俺らのグループの女子生徒だった。女子生徒は前の教壇に立ってなぜか自己紹介をしだした。
「私は紅葉つばさといいます。こういったゲームは久しぶりにやったので楽しかったです。まだゲームはあるのでみんなで楽しみましょう!」
紅葉という女子生徒は落ち着いた表情で明るい声で言った。
紅葉さんはずいぶんといい笑顔だな。それだけ親睦会を楽しんでるんだな。楽しんでいる人のためにも早めにけりをつけないとな。
クラスですべてのゲームが終わり現在の時間は十一時を過ぎている。今から一時間の休憩をして体育館に集合する。昼食は俺と舞の二人で食べることになった。和樹も誘ったんだが彼女と食べるらしく断られた。俺と舞は屋上にやってきてベンチに腰掛け俺は舞の隣に座った。
「なんであなたと二人で食べないといけないのかしら?」
舞が唐突に言った。
「別にいいだろ。仲良く食べようぜ!」
俺は笑顔で返した。
舞は本当にド直球なんだよな。ド直球なのはいいんだがさすがの元気のある俺でも傷つくぞ。
俺と舞が昼食を食べ終わり少し時間が経過した。
いきなり、ドン!!! という扉があく音がした。
なんだ誰か屋上でご飯食べに来たのか?....ん?あの顔どこかで。目を凝らしてみるとそこには先程同じグループだった向井が扉の前にいた。
「おいこら!!!古木!!さっきはよくもやってくれたな!!腕相撲の借りは今から何十倍にもして返してやる!!!」
向井が荒々しい声を出しながら一歩ずつ近づいてくる。
まさか喧嘩か?舞のいる前で喧嘩するのか。ただでさえ人前では喧嘩したくないのによ。喧嘩するにしても舞が近くにいるから離れてやらないとな。
「し、しげる....」
舞が声を震わせて言った。
舞が声を振るわ出るのは初めてだなそれだけ怯えているんだな。なんとかしてやるか。
「舞少し離れてろ」
俺は舞にだけ聞こえるように小声で言った。
舞を俺から距離をとって物陰に隠れた。
見られるのは不本意だが舞なら仕方ないか。
向井が俺にどんどん近づいてきた。近づきながら、
安心しろよ女!!こいつ潰したら遊んでやっからよ!!」
向井が荒々しい声で舞のほうに向かって言った。舞は、ビクッ!と体を震わせた。怖いのも無理はない。話を聞いた上にあの見た目だからな。
「へー、俺を倒せる気でいるんですね先輩は。腕相撲すら勝てなかったのに」
俺はにこにこしながら言った。
「うるせーよ!!!」
向井が言い終わった直後俺は向井を見る目つきが変わり笑顔が消えた。後に言うがよーするに戦闘準備だ。
向井と俺の距離が一メートルまで近づきお互いが左拳をだした。