親睦会って危ないな
親睦会当日。俺と和樹と舞は親睦会のために使われる教室に来ていた。俺たちのクラスにいる生徒たちは席順が分からないため固まって椅子に座っていた。俺たち三人は横一列に座っていた。左が和樹で真ん中が俺で右が舞だ。
昨日の和樹との話し以降、会話どころか目を合わせることすらできていない。俺は合わせようとしているのだが和樹が一向に合わせてくれない。よりによって和樹が隣か。俺は構わないんだがな。
そのまま時間が過ぎていった
「茂なんでそんなに静かなのよ?」
左隣から声が聞こえた。
冷たい言い方で舞が言った。
舞も言い方は冷たいけど普通に心配してくれるんだな。素直にうれしいな。
「何心配してくれてるの?ありがとうな!」
満面の笑顔で舞に向かっていった。
「ふざけないでくれる?いつもうるさい奴が静かだから気になるだけよ」
落ち着いた表情で返してきた。
いつも通りだな。俺はこういうところが気に入ってるんだがな。本人に言ったら怒られるな。
アハハ。
と俺は心の中で笑っていた。
「そうか」
とだけ返した。
時計を見たら開始十分前になっていた。俺は舞がいる右のほうに向き言った。
「もうすぐで始まるからトイレ行ってくるわ」
言葉ではそういい、表情では⦅ちょっとトイレについてきてくれ。話しがある⦆
と。
すると舞は、
「それじゃあ私も行こうかしら」
と落ち着いたトーンで言った。
「そうか!じゃあ一緒に行こうか?」
俺は笑顔で返した。
「どうやらあなたは早く天国にいきたいようね。もっと早く言ってくれればよかったのだけれど」
舞は不敵な笑みを浮かべた。
俺の意図に気づいてくれたのは嬉しいんだがな。少しは優しく言ってほしいな。
「失礼しました!」
俺は一言謝って教室から出た。
しばらく歩いてトイレの前まで来た。
どうやら俺たち二人以外いないようだな。
「いきなり本題に入るけど話っていうのは親睦会のことなんだ。今から始まる親睦会で、おそらく三年生の先輩たちは何か企んでいる」
俺は落ち着いていった。
「企むって何を?」
舞が落ち着いて返した。
「その企みは二つ。一つ目は和樹から聞いたんだが俺が先輩に恥をかかせるそうだ」
「なんであなたに恥をかかせる必要があるのよ?」
舞は、はぁ?みたいな顔で言った。
「和樹が言うには、俺は三年生の先輩に人気らしい。人気の俺を辱めて人気を落としたいんだってよ。よくわからん先輩だよな」
ハハハ、と笑いながら言った。
「あなたは自慢をしにここまで連れてきたの?」
呆れた顔で舞は言った。
「違うって!もう一つある。二つ目は俺の予想だが一年生の女子を三年生が狙ってる可能性がある」
俺はまじめな顔で舞の目を見つめて言った。
「その根拠は?」
「昨夜、和樹を脅した先輩に聞いてきた」
俺は昨夜あったことを舞に話した。
「実は和樹から話を聞いて先輩に直接会いに行ったんだ。そしたらテーブルゲームの後の休憩で水分補給があるらしいんだが、飲み物の中に睡眠薬が入ってるとのことだ。だからその飲み物は飲まないでくれ!」
俺は心配な表情で言った。
実際はもうその飲み物を回収して同じ飲み物を買ったんだが念には念を、だ。
「そのことは先生に言わなかったの?」
舞が落ち着いて言った。
なんでこんな落ち着いてるんだ?動揺したことあるのか?今度聞いてみるか。
今はそんなこと思ってる場合じゃないな。
「先生に話したんだが、俺の勘違いってまともに聞いてくれなかった。だから行動に起こしたんだ」
「なるほどね。忠告ありがとうね。今までの話、肝に銘じておくわ」
舞は言葉を言い残し教室に戻って行った。
ちゃんと聞いてくれればいいんだがな。俺もしっかり警戒しておかないとな....。