第3話 里中千恵 B
高校1年生になり、新たな気持ちと新しい制服。
桜が舞う学校へと続く坂道───
そこに彼女はいた。彼女は片手に木刀という、
その容姿に不釣合いなものを持っていながらも胸を張っていた。
彼女を見たものは、必ず言うだろう。
『綺麗だ』と 実際私もそうだった。
学校の帰り、思い切って話しかけようと
彼女を待っていた。
正直なところ友達になりたかった。
彼女の長い髪のシルエットが地面に映された。
「あっっっ織宮憂緋さんだよね?
私、里中 千恵って言うんだけど・・・」
「私、忙しいから。」
一刀両断・・・話なんて聞いてもくれなかった。
しかし、めげたりしない!
それから来る日も来る日も校門で待つ、
話しかける、の日が続いた。
そしてある日───
「あんたさぁ。何で私に関わるの?」
初めての会話。それがこれである。
「何でって・・・友達になりたいから。」
「私と?何で私なんかと・・・」
「友達になるのに理由なんているの?」
「・・・・・・」
彼女は背を向けていってしまう。
「え?あ!ちょっと」
彼女は止まることなく行ってしまう
次の日、いつものように公園で彼女で待っていたとき。
「ねーキミ。何してんの?今ヒマー?」
学生服のボタンを全開にし、中の赤色のシャツを
のぞかせているモロ不真面目スタイルの男子が2人寄ってきた。
「えっと人待ってるんで。」
「いーじゃん。どっかいかねぇ?」
ああ、絡まれた。てかナンパ?
そう思ったとき、後ろから凛とした声が響いた。