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第12話 文化祭♪ C

次の日。栗原が暴走したせいか、役決めなどはパパッと決まり、

退屈なMPになってしまった。

まぁ、退屈なのは役のある人たちだけで、看板作りや、

大道具作りの人たちは現在進行形で働いているのだが。

「俺は死んだ子供の霊なんてやだよぅ〜〜〜」

昨日からずっとこの調子の雪丸。

確かに背も小さいし、ぴったりではあるのだが、本人が嫌がっている。

似合ってるぞ、とか声をかけるべきなのだろうか?

「うっはーい!冬島くんはそれでいーんだよ!似合ってるよ〜〜」

またテンション高いのが来た。

黄色のリボンでしばった髪をぴょこぴょこ跳ねさせてくる。

「うるさいぞ、栗原。大道具係に迷惑だ。」

それだけ言うと火乃村は、参考書に目を落とした。

「うぃ、すいませ〜〜ん。」

そういえば火乃村と栗原が絡んでいるのは見たことが無い。

火乃村は騒がしい奴は嫌いだったか?いや、でもそうしたら雪丸はどうなる?

騒がしい女子が嫌いなのか?

「栗原ってそんなに火乃村と絡んだりしないよな?」

「そうかな?………あーもしかして役決めで怒ってたりするのかな?」

役決め。そうか、それのせいか。

どうせろくな役を与えてないんだと思うんだが。

「あれだよ! えと、ジェイソン役? あのチェンソーの人。」

ジェイソンって人だったのか?

というか結構いい役を貰っていると思うのだが……

まぁ、火乃村としては、お化け屋敷の構成を考えたかったのだろう。

でもこんなことがあってもいいだろう。

「そういや、織宮は何の役貰ったんだ?」

暇そうにしている織宮に声をかけた。

「ひわっ! えと、白い着物着たなんか………火の玉を放出する役?」

「え?そんな役あんのか?つうか危なくねぇ?」

雪丸が食いついてきた。

確かに火の玉放出て………

「マジか、織宮。それはすげぇ役だな。」

「え、えへへ……」

何か複雑な感じで笑っていた。

一方、教室の一番隅には猿山が、こんにゃく…… とつぶやきながら負のオーラ

を放出している最中だった。

最近いつもこんな調子だ。

「こんにゃく?こんにゃくって………」

「ま、まぁドンマイだな………猿山。」

そう声をかけた瞬間。キッ! と睨みつけられた。

「そうか、貴様もこんにゃくを馬鹿にするのか……こんにゃくはなぁ!

 漢字で書くと難しいだぞ! 蒟蒻って書くんだぞ!」

「簡単だろ。」

火乃村の一言で猿山は、崩れさった。

「いいよな。有志君は………いい役をもらえて……」

「いい役なのか?あれは………」

俺が貰った役は、猫男役。

………何処かで聞いたことがあるが、確か性別が正反対だったような気がする。

「いやぁ……アレはアレで……問題あると思うんだが。」

すでに猿山は聞いていなかった。

こんにゃくワールドに入っていってしまった。

気の毒だな。今回だけなんか猿山がかわいそうな気もするぞ。

「っと、そういえば里中が見当たらないんだが。」

「ち、千恵なら色のついてる照明を取りに行ったよ。」

織宮が返してくれた。

「そうか、里中は照明係だったんだな。俺はてっきり銃で

 暴れる役だと思っていたぞ。」

「あはは、確かに千恵ならやりそうだもんね。」




教室の出入り口ドアの隙間から、無機質な瞳がこちらを捉えている。

「もう少し……近づいて……」

その正体はレンズだった。

ぎりぎりの角度から写真を撮ろうとしている。

「あのー、里中? 教室に入れないんだけど……」

この教室の男子の声だ。聞くな。今は集中だ。

一瞬、一秒がことを決めるのだ。

「里中?きいてんのか?おーい。」

無視をしているのではない。今、私が無なのだ。話しかけるな!

もう少し。もう少しで、絶好の2ショットが!

これで憂緋をからかって遊べるんだ!

「ちょ、里中。お前、シカトか。」

肩をゆすられる。─────ズレた!?

「てっめぇぇぇぇ!なにしやがんだああああぁぁぁ!」

「ええええ?俺か、俺のせいなのかぁ!」

胸倉をつかみ、銃をこめかみに突きつける。

「はっ、私のチャンスを無駄にしやがって……死で償ってもらうわぁ!」

「うわぁぁ!」


バン!


その男子はぐったりと廊下に倒れこんだ。

「見せもんじゃねぇ!」

「うわわ!里中が暴れ出したぞ!」




廊下は、すごい喧騒に包まれている。

「里中なにやってんだ……」

「ち、千恵〜〜〜」

それを遠巻きに見ている俺達であった。

と、そこに。


「まちな。千恵ちゃん。」

「あ゛ぁ?」

勇者が舞い降りた。

「この蒟蒻で止めてみせる!」

いや、スライムだった。

「黙りな。」

一言+一発で猿山はやられた。



そんなことで騒がしくなるMRだった。















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