第2話 織宮憂緋 A
暑い夏のある日───織宮 憂緋は
学校へと続く長い坂をけだるそうに歩いていた
暑い!のだが叫んだところで何か変わるわけではない
スカートを短くすれば・・・と思うがこの学校の夏服は、
すでに短い・・・・風なんかが吹いたら男子どもが
いっせいにかがみだしそうだ。
まぁそんなことでもしてみろ・・・私の木刀が────
「まーたそんなもんだして・・・危ないぞ?」
っっ───杉水 有志っ・・・・
なぜかあの調理実習の日から彼の顔をまともに見ることができない
どうしてって?だってだって・・・額と額がごっちんこで、
そんでもって、接近して・・・それでそれで・・・・
「てゆーかどっから出してんだよそりゃ」
「え?え・・と い、異空間?」
などとボケてみる。あれ私何言って・・・?
「あはははっ。織宮って面白いな、おっと今日俺日直だった
先行くわ〜 またあとでな」
ニカッっと笑って見せる彼の顔は、夏の太陽よりも輝いて見えた。
「面白い・・・って私が・・・・面白い・・・」
このように彼に会うたびにとんとん拍子に話が進んでいく・・・
会話の中身なんてまったく覚えてない
あるのは、彼と話していたという真実だけ───
「って私おかしい!なんかいつもの私じゃない!
つうかこれって冬島のせいだかんね!私は悪くないっ!」
「どーしたの?そんな声張り上げて・・・?」
声をかけてきたその子は、私と同い年の里中 千恵
私とは、反対な性格なのになぜか仲がいい
反対って言うのは、木刀を持たずにエアガンを持っているって事で
え?反対ってそっちかよ って当たり前でしょ?
逆に何が反対なの?教えてよ?
「とりあえずそれしまいなよ?後輩がびびってるよ?」
千恵の言葉になだめられ周りを見渡すと
1年生どもがビクビクしていた。
こりゃ暴力女のレッテル貼られたかも・・・と
心の中で多少後悔していたり
「で、見てよこれ!最新式のエアガン!
これさえあれば学校制覇も夢じゃないわ!」
「さっきあんたがいった言葉思い出してみろ」
「いや・・・ジョークだって」
そういいながら千恵は、黒光りするそれをしまった。
「まぁ、これは置いといて。さっき杉水君と何はなしてたの?」
ストレートでストライクな質問を繰り出され
おもわず「うっ」と うなる。
「ねぇー何話してたのー?」
両目に興味津々と光り輝かせて迫ってくる
「別に、ろくでもない話よ」
平然を保って言えた。
どうやら彼がいなかったら大丈夫らしい
いや!?いたらしゃべれないとかそんなんじゃないけど!
「へーえ」
「うん」
つまんないと千恵は歩き出した
何を期待してたんだよ、と突っ込みたくなる
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歩きながら里中 千恵は思っていた
彼女は、杉水との会話を一部始終|(ほんとは全部)
見ていたのであった。
あんな憂緋のうろたえ方は見たことが無い
|(変なボケかましてたし)
よって里中は、ここに結論付ける!
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「これは、恋だぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!」
憂緋がしらを切るのなら私がキューピットになってやる!
この私!キューピット千恵様がその果実!
実らせてやるわーーーー!
・・・織宮憂緋のなかで里中千恵に対しての
キャラが崩壊したときだった・・・・・