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第11話 体育祭だっ! E

≪これから、クラス対抗体育際を始めます。≫

アナウンスの声が響くと同時に、歓声がワッ と上がる。

とはいっても、クラス対抗の競技は少ない。

あるのは、短距離走、障害物競走、そして最後は大縄。

大縄?何故に?と思うものも多いかもしれないが、これは重要だ。

まず、全員で飛ぶために結構続かない。

そして一番点数の入る競技なのだ。

≪まずは短距離走です。≫

これは、選ばれた選手が走るもの。

短い距離だが結構燃えるのだ。

「火乃村、織宮、がんばれよ」

「ああ。」

「う、うん。がんばる……」


クラスから、各十人ずつ。

1位、2位、3位、には点数が与えられる。

「ああ、なんか面倒になってきた。すまんが猿山、解説交代で。」

「いよー!ついに僕の番ですか!解説するよ」




なんやかんやで合計点数的には2位なのであった。



「てめぇ!適当すぎだろうが!マジなめんな!」

「うわわわ!だって短距離走だから速くて追いつかなくて……」

「まじ馬鹿だわ!」

改めて猿山の馬鹿さが身にしみた。


「ゆうしー、私に任せてよ!」

ひょこっ と後ろから現れる唯。

「お前は違うクラスだろ」

「ひどいっ!違うクラスでも解説くらいはできるって!」

「じゃ、やってみな。」




障害物競走では!村瀬君ががんばって1位!そして紙田さんが……



「誰だそいつら!」

「え?ウチのクラスの………」

唯は不思議そうな顔をしてこっちを見る。

「素で間違えた。お前は違うクラスって最初に言ったもんな。」

「え?どうして!?なんでそんな悲しい目で私を見るの!?」


「やっぱりここはこのエアガンの使い魔の私が……」

すちゃ、とエアガンを構えながらも近づいてくる里中。

それはどこぞの戦闘に行く戦士のよう─────でも無いが。

「何だその使い魔って……別にエアガンに使えているわけじゃねぇだろ」

「そこは気にしなくてよい!ってか最近わしの出演率少なくねぇ!?」

「一人称を急に変えるな!わかりずらいだろうが!」

「やっぱりインパクトが無いと忘れ去られてしまう!」

「一回黙れ!というか話が進まん!」

「私は憂緋の友〜〜〜!別に腰巾着ってわけじゃないんだからねっ!」

「マジでなんなんだお前!混乱する!」

「べ、別にあんたのことなんてなんとも思ってないんだからねっ!」

終らないやり取り、場をかき回しすぎの里中。

というか何故にツンデレ……?

「お、ツンデレいいな。そうか、これに転職しよう!」

「何を邪悪なことをたくらんでる!」

「べ、別にたくらんで──────」

「お前それしか知らないだろ!」



そんなことをしているうちに短距離走も障害物競走も終ってしまった。

「おい、次は大縄だ。」

そんな冷静な火乃村の声が聞こえてきて、俺らの会話は終了した。













「回す役は火乃村君と私!」

クラス委員───────栗原 雅が叫んでいた。

みんな本気だ。その目は商品だけにある。

「2列になれっ!さっさと動け──────!」

「ちょちょ、雅押さないで───」

「おうっ」

織宮とぶつかってしまった。彼女は短距離走のせいか、顔が赤くなっていた。

「だ、大丈夫か織宮?」

「う、ん、顔が赤いのはなんでもなくてその……」

こころのなかを読んだのだろうか、そんな言葉が返ってくる。

「まぁ、大丈夫ならいいんだが。」

いつの間にか、真ん中に追いやられ織宮と並んでしまっていた。

パァン!、と火薬銃の音が聞こえ、縄が足元をすくいに来る。

「いつのまにっ!」

「はやいよっ!」

2人して小さく叫び、ぎりぎり飛んだ。

が、もう2回目が来る。

「わっ、きゃっ!」

織宮がテンパって足首を捻り、こけた。

縄が止まり、回数はカウントされない。

「織宮!足……グキッたな。保健室行くぞ。」

「なうぇ!?ひぇ?はえ?」

織宮を背中におぶり、校舎へと向かう。

「すまん!火乃村と栗原!やっててくれ!」

「「お前らの分もなっ!」」

2人は、シンクロして答えてくれた。












「お、おろしてくれて大丈夫だから〜〜」

正直恥ずかしくて死にそう。いろんな意味で。

顔はいま、真っ赤、どころではすまないだろう。

というかすでに煙が出ているのかもしれない。

「駄目だって。足なんだから」

何で彼はこんなにも優しいのだろう?

同じことを何度も考えた。

でも、答えは分からない。

優しさ、それが私が引かれた理由なのかもしれない。

こんな──────。





保健室に着いた。そこには白衣をだらしなく着た先生。

「おお、なんだぁ?ベットかしてほしいって?」

「んなことは一言も言ってねぇ!」

この先生は、頭のねじを何処かに落としてきたような人だ。

何故、保険の先生になれたのか不思議なくらいの人。

「足!足怪我したんだよ織宮は!早く治療しろよ!」

「そうせかすなって。治療したら先生は出て行くから。」

「だからっ!」

そうだ、こんなことをしている場合じゃない、織宮が。

保健室のソファーに下ろし、先生に目をやる。

先生は、わかったわかった というように小さく笑い、しかし

手際よく治療をしていく。

「ほい、終わり。んじゃ、あとは若いお2人に〜〜〜」

「いい加減にしろや!」

「キミキミ、先生に対しての言葉とは思えないなぁ〜」


「杉水……くん!」

不意に織宮が言った。

「あ、ありが………と。」

「ああ、どういたしまして。」

……会話が続かない。なんだろうこの空気は。

「はい!青春!いいね!」

素っ頓狂な声を上げた先生。

空気を紛らわせてくれたのだと……

「じゃ、邪魔者は消えますよ〜」

……だと思いたい。







結局、商品を貰ったのは別のクラス。残念だったが、まぁ、仕方ないだろう。

すっげぇ悔しそうにしている奴もいたが……














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