第11話 体育祭だっ! B
結果的に、係決めも落ち着いての放課後。
団をまとめてみるとこんな感じ。
青龍団→俺、雪丸
朱雀団→火乃村、織宮
白虎団→猿山
玄武団→里中、栗原
ちなみに唯は、白虎団だったらしい。
そして何で放課後に俺が残っているのかというと、係決めに引っかかったからだ。
あのクラス委員、栗原が無理矢理といった風にだ。
「ったく何で俺が……」
そうつぶやきながらダンボールを運ぶ。
中には、飾り付けようの細々としたものがたくさん入っている。
それなりに重いし大きい。
「あ、!有志だっ!」
聞き覚えのある声が後ろから。残念ながら今は振り向くことができない。
「ゆ、唯か……今は飛びつくなよ……」
「うわ〜〜い!今、有志無抵抗だ〜〜〜」
ガバッと胴あたりに手を回される。抱きつかれた。
「お、おい。何でこんな廊下のど真ん中で!勘違いされるだろうがぁぁぁ。」
「じゃあ、どこならいいの?だれもいない教室?体育倉庫?」
「てめぇそんな知識どこから得てんだよ!」
「え、男を誘うならそこが一番って猿山君が……」
よし、あいつは死刑にすることにしよう。
「と、とりあえず、これを教室まで運ばせろ……」
ずるずると唯を引きずりながら教室まで行った。
「っはぁ、はあ。」
体力不足だ。明らかに体力不足だ。
確かに高校生になってから全然運動していないし……
中学の時は部活してたんだが……
「ゆーしー。」
「うおぃ!やめろ!近づくな、今のお前はなんか危険だ!」
後ずさりする有志。ジリジリと距離をつめてくる唯。
これ普通、男女逆じゃねぇ!?とか思いつつももう後が無い。
「いい加減、私を認めてよ〜」
頬が赤く染まっている。すいません母さん、なんか変なジャンルに飛び込みそうです。
逆にやられる僕を許してください。
「おやおや、お2人さん熱いですなぁ〜〜〜」
出た。俺をこの状況に追い込んだ根源を与えた奴が。
「ち、ちょっと!何してるのよ唯!」
織宮もいたらしい。
「ちぃっ、もう少しで有志は私のものだったのに……」
不吉な言葉を漏らしつつ、俺から離れていく唯。
絶対猿山が洗脳したに違いない……
「だっしゃらぁぁぁ!」
腰の入った重いパンチが鳩尾に入る。やったのは栗原だ。
「ごふぅ!?」
ロッカーに背中を打ちつけ地面に倒れこむ。
「な、なにを………」
そこで俺の視界はブラックアウトした。
「まったく!女に襲われるとは何事っ!私が鍛えなおしてあげようか!?あぁ?」
「襲ってるのはあんただし、てか、杉水気絶してるわよ。」
「ああっ!有志が死んじゃったーーー!」
唯が杉水をゆする。何でそんな簡単に触れられるんだろう……私も…。
「おやぁ?織宮 憂緋君?どうかしたのかなぁ?」
またもやニヤニヤしながらの栗原 雅。
「な、なんでもないわよ!栗原さん!」
「栗原、じゃなくて雅って呼んでよ。ね?」
いきなり友達風景。場面が入れ替わりすぎてついていけない。
「こうなったら人工呼吸!唯、いっきまーす!」
「まままま、まって!それは駄目!死んでないから!気絶してるだけだから!」
顔が何故か熱い。
「じゃあ間を取って、私が〜」
雅が髪をかきあげる。
「「何言ってんの!?」」
恐ろしいほどのシンクロ率。100パーセントでした。
「おお、こわ。」
肩をすくめてオーバーリアクションする雅。
「まぁ、とりあえず落ち着いて。あんたらコイツのこと好きなんでしょ?」
「うん!」
「ななななな!」
対照的な2人の反応。見ていて面白い。
「いいねぇ、青春だねぇ、おばばもそんな恋がしたいねぇ……」
「あんた誰なのよっ!」
腰をまげてしわを作ろうとしているのか、雅は手をくねくねさせている。
「ま、お2人さん、がんばりぃや。後は私がコイツを処理しておくから帰んなさい。」
唯と憂緋は、顔をあわせて、それからカバンを持って帰った。
誰もいない教室。おっと間違い、あと1人、寝ている奴追加。
「コイツなんでもてるのかねーー」
そういいつつ、寝顔?を眺める。
「ふっ、無防備だね………」
そういって雅は、微笑した。