第8話 ライバル?仲間? C
「と………いうわけで、いろいろあったの。だから私のものなの。」
腕に巻きつきながらも里中に向かって言う。
「意味わかんねぇし!別に付き合ってないだろ、というかお前のものじゃねーし!」
「えー!なんで!私のこと抱いたじゃん!」
「なっ!人聞きの悪いことを言うな!抱いてねぇ!」
コイツはほんとになに言い出すんだ!
「だって!カレーも作りに行ったでしょ?」
「あれはてめぇが勝手に家にいたんだろうが!
アノ人みたいなことしやがって!」
「アノ人って誰よ!まさか他の女!?」
「うるせーな!最近は『○』で伏線張るの流行ってるみてーだが
俺にはそんな勇気ねーからな!アノ人で行くしかねーんだよ!」
気付いた奴は腹抱えて笑っててくれ……
「私がほかの男とじゃべっててもちっとも焦ったりしないじゃん!」
「別に俺はアノ人B見たいに脳震盪起こさねぇよ!
てか、これ以上やったら怒られちまうだろーが!」
わーわーぎゃーぎゃー と騒いでいる中、
里中と、織宮の顔が引きつっているのが見えた
そんなとき、授業開始のベルがなった。
「はいは〜〜い!席についてさいね〜〜」
久しぶりの登場、梅崎 百合先生。
思い出せ無い人は、それでもいいです。
「あら、一ノ瀬さん。自分のクラスに戻ってくださいね」
普通のノリで注意する。助かった。
「うん、じゃあね有志。次こそは……だよ!」
わけの分からない台詞を吐いてクラスへと戻って行った。
授業が始まった。先生は何か機嫌がいいのか、
鼻歌交じりにプリントを配っていた。
せんせーー何かいいことあったんですかーーー と、とある生徒が。
「え!やっぱり!分かるよね!うんうん〜〜♪」
何故かテンションの高い先生。というか早くプリント配ってください。
「先生ね!彼氏ができたの!ああーーーこれが最後のチャンスかも
って思ってるの〜〜〜そうだよね!うん!神様が与えてくれた
最後のチャンスなの!」
せんせーー彼知って何の仕事してるんですかーーー と、とある生徒Bが。
「そうそう!小説家なの〜〜〜!おっきな夢持ってるって人はいいよね!
でもたまにルビのフリ間違いとかあってそこがいいの〜〜〜!」
そこあっちゃだめでーーす と生徒Bが。
あれ?先生ってこんなキャラだっけ?久しぶりだからわかんねぇわ!
つうかプリント配れよ早く………
「先生がんばるよ!みんな応援アリガト〜〜〜!」
誰も何も言ってませーーん と、とある生徒Cが突っ込みを入れるが聞いちゃいない。
自分ワールド展開ですか。この人もう駄目だ。
暇になったので教室内を見回してみる。
雪丸────机の下でゲームをしている。なんかやりたい放題だな。
まぁ、こんな授業の調子じゃあな………
火乃村───相変わらず教科書読んでるか。なんか前に教科書は最高の参考書だ
とか何とか言ってた気が………?どーでもいいか。
里中────紙に何かを書いて────?んで破り捨てた!?
こいつの行動が日々理解できなくなっていく………
ん?D……E…………S?何の文字だ?
猿山────は別にいいや。
「ちょっと!有志君それ酷くない!?」
急に猿山が立ち上がり叫んだ。
うおお、びっくりした。人の心読めんの?こいつ……?
「猿山君?どうしました?」
一気に教室内がアホみたいにしらける………
「あ、いや……何でもありません。」
静かに席に座った。ったくコイツは何なんだ………
んで最後は─────
バンッ!
四角く、硬いものが飛んできた。ナニコレ………筆箱?
飛んできた方向を見ると、織宮が、ふん と鼻を鳴らして
そっぽを向く様子が伺えた。
「おれ………なんかしたっけか?」
織宮は一向にこちらを向かない。
えーと筆箱どうすれば………
遠くからは、「避けろよ!」と聞こえてくる。
そんなグダグダな、授業だった。