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第7話 繋がりは… D

今は、昼休み。雪丸のことが気になって、時間が過ぎるのが早く感じられる。

って………雪丸がいない。どこいった?

「おい、火乃村。雪丸何処行ったかしらねぇ?」

「授業が終ってすぐ教室を出て行ったが……」

こういうときは何処だろう?

雪丸が、ああなる前はいつも一緒にいたからな。

何処へ行ったかなんて見当がつかない。

「探しに行かないか?」

火乃村は教科書を閉じ、立ち上がった。

「そうだな……。そろそろ訳も聞いておくべきだろう。」

決定、と教室を出ようとした時、里中に呼び止められた。

「ちょいちょい、君達。私の作戦を聞いてはもらえないかい?」

「作戦?」

里中は、目を光らせ人差し指を突き出した。









すぅ〜〜〜すぅーーーー。ゲホ、ゲホッ……

「ぐっ………」

何度やってもなれない。アイツに言われてから3日目

そんなすぐに慣れるものではないのだろうか?


「吸えるようになっとけ、そこからだ。」


憎いアイツの言葉。何故か恐怖心は薄れていた。

もうどうでもいい、と思い始めたからだろうか?

こうして1人で屋上にいると、どーでもよくなってくる。

何もかも?何もかも………。

楽しかった日々も…?もう戻れないから。

「雪丸っ!」

バンッ! と勢いよく屋上の扉が開かれた。

出てきたのはあの2人、いつもの2人。

「なんだよ………」

冷たく突き放してやった。今、一番会いたくないやつらだった。

「お前……何がしたいんだよ!」

片方、杉水が叫んだ。ああ、タバコのことだろうか?

ずんずんと近づいてきて、それを取り上げられる。

「返せよ………」

「こんなことして格好つくとでも思ってんのかよ!」

「うっせぇな!何回も言わせんなよ……関係ないだろ!」

会話が途切れ、静まり返る。冷たい秋風だけが吹きつける屋上。

しばらくして口を開いたのは、杉水のほうだった。

「なぁ……俺らじゃだめなのか……?話して……くれないのか?」

ああ………甘い。こいつは甘いんだ。

優しいなんてものは、もう通り越してしまってる。

こんなになった俺でさえ気にかけている………

だからこそ、ダメなんだ。

「関係………ねぇよ……」

立ち尽くす彼の横を通り過ぎる。

入り口付近にいるもう1人の男は、静かにただ見守っているだけ。

頭もよく、俺とは正反対な男。

そいつの横を通り過ぎる時、小さな声が聞こえた。

「待ってるからな。」

いつも冷静なそいつにとっては、馬鹿みたいな言葉だっただろう。

でも……………温かさがあった。

「っ────!」

耐えきれなくて屋上から逃げた。走るようにして………






会談の踊り場、そこにはこの間、転校してきたあいつがいた。

壁に腰掛け、腕を組んでいる。相変わらずキザったらしいやつだ。

「君達3人の関係は、わかんないけどさ………」

唐突にそいつが言った。こいつも説教してくるつもりか?

「今の君は───嘘をついてるよね。」

「なっ───」

いつもふざけている奴がこんな核心を突くことを言うなんて───

こいつ………何が「わかんない」だよ……

無言でその横を通り過ぎた。






今日はもう帰ろう。そう思って教室からカバンをもって出た時、

ブラウンの髪の少女が廊下に立っていた。

容姿はかなり整っていて、人気の高い少女。

何故かいつもグループの中にいる。

「あんた………どうしちゃったのよ……」

またその言葉……もう何度も聞いた。

だからこそ俺も同じ言葉で返事する。

「かんけーねぇ。」

「関係なくないわよっ!」

驚くほどの大きな叫び声。廊下を行く人々がこちらを振り返る。

「あんたの……あんたのせいでっ!いや………おかげでっ…… 今、私はっ………」

彼女は泣きそうだった。そして俺は、また逃げた。

「かんけーないって言っただろ………」

そういって、玄関へと足を運ぶ……






玄関にも1人、なんなんだいったい………

髪をピンで止めた少女。いつも一緒になって馬鹿やってた1人。

「雪丸君。君は忘れたのかい?僕達のキズナを!」

「ふざけてんならシカトするぞ、里中。」

里中は、小さく息を吐いて肩をすくめた。

「行くんなら勝手にしなよ。でもね………私達の気持ちも知っておいてよね!」

珍しく叫んだ里中。

だが………また、また。また!逃げるのか!


「友など切り捨てろ。お前は道具だ、友など必要ない。」


アイツの言葉が残って─────!

「………」



靴を履いて歩き出した。

優しさの塊に背を向けて────。











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