第7話 繋がりは… A
ズン…………ズゥン………………
痛い。つらい。力が────抜けていく。
キィィィィィ────ン
痛いほどの耳鳴り、臓物をすべて吐き出してしまいたいぐらいの
体の痛み。もう何が何だが分からない…………
ただ一方的、1人の男が一方的に暴力を振るう。
男の後ろには、さらに2,3人男がいた。
どいつもろくな心情の持ち主ではないことが分かる。
男、─────同じ血を分け合った男は…………
自分とは違いすぎた。
「雪丸ぅ?お前は使えない。1人じゃ何もできないんだ。
だから俺に従え。オレが使ってやる。」
自分の嫌いな声、昔近くでよく聞いた声。
男は、口元を吊り上げ、不気味に笑って見せた。
雪丸は、それに恐怖を覚えた。
憎しみ、怒り、嫌悪、拒絶…………
すべてをそぎ落とされ、恐怖へと変わる。
頭つくりが─────違いすぎた。
「うっす火乃村。」
「ああ、おはよう杉水。」
秋がだんだんと深まっていき、葉がすっかり色づいた季節。
窓の外には、たくさんの木がある。その中の一本だけが、
もう葉を枯らせていた。
「あれ?雪丸まだ来てないのか?」
雪丸の席は空っぽだ。もちろんロッカーにもかばんは入っていない。
いつもは先に来ているんだが………
「風邪か、遅刻じゃないか?あいつにしては珍しいが……」
火乃村は、教科書を閉じていった。
バァン!
「うわっ!あぶな!」
紙一重で避けたそれは窓にぶつかり、床に転がった。
これは……ゴム弾?………ということは。
「ふははははは!これを避けるとはなかなかだな!」
甲高い声で笑うその人物。そいつは………
「里中……なんのつもりだよっ!」
「貴様が鈍感だからじゃーーー!」
続けて2発3発と撃ち込んでくる。
その後ろでは、織宮が顔を赤くしてうつむいている。
何だってんだよこれは─────!
そうして、いつものメンバーが1人欠けながらも時間は進んでいく。
昼休み終了10分前、雪丸は学校にやってきた。
「雪丸?遅刻じゃんか、どうしたんだよ。」
といってから異変に気がついた。
いつもと違う。あの笑顔の光る顔はなく、
代わりに痣や湿布だらけになっていた。
モロに絡まれてボコボコにされましたといわんばかりに……
「お、おい……どうしたんだよ。」
「いや……ちょっと転んで…………」
これは嘘だ、転ぶだけではこんなことにならないし、
明らかに元気が無いのが分かる。
眼に光が無い。すべてを反射しているだけの色となっている。
そのまま雪丸は、ふざけもせずに自分の席に座り、
うずくまってしまった。
「なぁ………重症じゃないのか?」
いつの間にか火乃村が隣にいた。
「かもな……」
怪我のことを言っているのではない。
心のことについてだろう。確かにいつもの雪丸と違いすぎる。
それにあの怪我、何かあったに違いない。
「なにかあったな。」
火乃村はそう判断し、雪丸のほうに目をやる。
「次の休み時間に聞いてみるとするか。」
「そうだな…………」
いやな予感がしたりもするが、聞かないと先には進めない。
何より雪丸が心配だから………………
大きな事件に関わってないといいが……