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白3編 梅野りつ
白 3編
梅野りつ
はじまり
燃え立つ光と水とがまざり
沸き立つ泡がはじけて
ひとかけらの生き物になった
燃えて燃え尽きるそのときまで
再びはじけて塵になるそのときまで
それは、瞬き、輝く
のばした手が手に触れた
からめた指先は離れていった
分かつことが世界のはじまり
溶け合うことを希い
ばらばらになるまで孤独にひたる
集合と離散を繰り返し
そこに命と生まれたからには
燃えて燃え尽きるそのときまで
死に神
死に神が鎌を振るう
陽が沈む
白バラが咲く
死に神の前に
首を差し出す少女も
祈りをささげる神官も
子供も
大人も
王も
人はだれも
いない
そこには
白バラが咲く
危ういほどの清らかさで
銀の草原の上で
真珠
胸の真珠がまた一つ
カルシウムの層をつくる
天の川の砂の粒
いびつに、やわらかく、まるい粒
磨かれていけ
重なっていけ
いつか胸をとびだして
どこかへころがって行ったとしても
そこでまた、うつくしく
光ることのできるように
浦木さんありがとうございました