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8話「嘘」

「うわぁぁぁぁぁ!!!やばい!やばい!」


現在、俺はこれにないというほど慌てている。足が辛くなってきたが止まることはできない。俺に残されたタイムリミットは10分。それまでに学校につかなければならない。


何故このようになったかというと…


7時起床→時間に余裕があって調子乗る→和樹からのメール→宿題があることに気づく。


何やってくれてんだぁぁぁぁ!!!!かずきぃぃぃぃ!!!!


宿題たっくさん→死に物狂いでやる→8時に終わる→まだ寝巻き→やばい→着替える→朝の用意→8時15分に家を出る。


とまぁ、こんな感じで今に至るわけだ。

せっかく早起きしたというのにこんな仕打ち許されるというのか!?いや、許されるわけがない!このクソボケ神様がぁぁ!!


なんやかんやでなんとか時間には間に合った。

危ない。危ない。遅刻するところだったゼェ。ふー。

俺は階段を登り、自分のクラスの扉に手をかけたところで背後から雨宮が話しかけてくる。


「あれ?黒崎君今日は遅刻しなかったんだね?」


アレ?ダレ、コノカワイイコハ。オレシラナイ。ミシラヌヒトダ。


「お前2人だけの時と雰囲気違いすぎないか!?なぁ?」

「やだな黒崎君。そんなことないよ」

「いや、そんなことあるからね!?」

「何言ってるのかちょっと分かんないなぁ」


おい、分かれよ!


「あの子可愛いな」


そんなことが周りの男子から聞こえてくる。


騙されないで!世の中のみんな!こいつは悪魔だ!美少女の皮を被った悪魔だぞ!!


「何をしている?早く中へ入れ。バカども」


先生にお灸をすえられ、渋々俺と雨宮は教室に入り自分の席へと座る。


なぜか周りが騒がしい。何かあったのかしら?と思わず口調が変わってしまうほど騒がしい。先生ですら動揺している。


「お、おい…黒崎、お前…熱でもあるのか?」


へっ?いや別に全然元気だけど、そんなに体調悪そうに見えたのかな?


「大嵐が来るかもしれないな」


そんなことを前の席にいる和樹が言ってくる。


「なんだ?何かあったのか?」

「ははは、違う違う。ただ、悠真が遅刻せずに来ることが珍しすぎてさ」


はー!?俺がそんなに遅刻しないのが珍しいのか!?基本遅刻してないわ!ボケ!クラスでそのリアクションいるか!


「お前ら、今日の予報は晴れだがおそらく雨が降るだろう。気をつけろよ」


せんせぇぇぇぇい!!!!何あんたまでノリになってんだよ!そういうのは若い奴だけでじゅうぶんなんだよ!


「すごい驚き用ね」


ニヤニヤしながら雨宮もクラスの波に便乗する。


「うっさいわ!黙れ!」

「何照れちゃってんの?」

「照れてねぇわ!」


そんな感じで今日も一日が始まった。なんか俺がバカにされるのはシャクだが。




授業が終わるなり俺はすぐさま教室を出ることにした。

なんせ雨宮に捕まったら何を要求されるかが分からないからだ。


今は晴れて自由の身!ルンルンだぜ!


「はっ!宿題教室に忘れた…」


俺としたことが教室に宿題のプリントを忘れるとは…

やれやれだぜ。


学校の門を出てすぐのところだったため、俺は教室にプリントを取りに戻ることにした。


明日宿題をやってなくてあの先生(ババァ)に殺されるのも嫌だし。


「ルールンルン♪」


何故か足取りが軽い。今日は先生に怒られることもなかったし!嫌なことがゼロだったからね!


あ"っ!俺は見てしまった。そう、見てしまったのだ。見てはいけないリア充の光景を!


俺が見ていた先には部活をする親友の和樹の姿。そしてそれを応援する佐藤 楓。


「クッ、和樹の奴め。リア充という妖怪に取り憑かれたか」


あれ?そうなると気になるのは咲の行方。

俺は今日、幼馴染の咲に気を利かして逃げるように教室を出た。和樹とイチャついてろ!みたいな感じで。


なのに和樹がイチャついてるのは佐藤。あれあれあれ?じゃあ咲はどうなったんだ?


まっ、いっか。


「咲はどうでもいいし、早くプリント取って帰ろっと」


俺はプリントを取りに校舎は向かおうとするが何か背後に悪寒を感じる。


悪霊か?悪霊なのか!?


「確かに今は夕暮れ時。この世の物でないものが入り込んでてもおかしくないな…」


俺はそぉっ〜と後ろを振り向く。


「だ・れ・が、この世のものじゃあないって?」


背後に立っていたのは怒り狂った咲。いや、ここはヤマンバとでも命名しておこうか?


「おう、咲どうしたんだ?」


ここは、あえていつも通りに…


「どうしたなんかじゃな〜い!!どうしてあの女と天川君がラブラブしてんのよ!!おかしいでしょ!なんなの!?意味わかんない!悠真は私を応援してくれてたんじゃないの!!?」

「あー、もう落ち着けよ」

「ハァハァハァハァ」


おいおい疲れてんじゃん。


ピロロン♪


ポケットにしまっておいたスマホから通知のお知らせが来る。


誰だ?あいつか…?


俺は怒り狂っている咲をほっといてスマホを確認する。


『プリント忘れてるよ?』


差出人は雨宮。


なんだ雨宮か…。って、なんで雨宮!?えっ?俺交換した覚えないんだけど!怖っ!


『今手に持ってる。ちなみに教室ね』


なんだよ。取りに来いってことか?持ってきてくれたっていいじゃんかよ!


咲がまだ怒り狂っていたが「まっ、いっか」みたいな軽いノリでほっといてさっさと教室へ向かった。


教室に向かう道中深く俺は思った。いや、常に思っている。

どうしていちいち階段昇んなくちゃいけないんだよ!って。しんどいんだよ!遠い!距離はさほど遠くないけど気持ち的に遠い!


教室の前まで来たところで中から誰かの話し声が聞こえてくる。


「好きです!付き合ってください!」


えっ?えっ?えっ?なになになに?告白?誰が?誰に!?いや、ちょっ、待って。心の準備がー!!ってなんで俺でもないのに動揺してんだよ!

いいからプリント取って帰ろっと。はてはて、雨宮ちゃんはどこに…


そう思いつつ、俺はこっそりと教室を除く。そこには告白する健気な男子生徒と雨宮。雨宮…雨宮…えっ!?雨宮!!?


「うわぁ、あいつ告られてるぞ!どどどどうしたら!プリントが人質に…」


ブーブーブー。


スマホのバイブが鳴る。念のため着信音をきっておいて正解だった。もし、ここで音を鳴らしたらそれこそ殺される!


俺は暇つぶしにスマホを開いてメールを確認する。

えー、なになに?


『早く来てよ。プリントいらないの?』


何故に雨宮!?こいつ、今告られてる最中だよな!?どうやって送ってんだ!?よく見ずにメールが打てるな!ある意味神業だよ!


〝無理!!行けません!!〟


メールで送ってもスマホの画面を見てないから内容が伝わらないだろうと思ったため、俺はジェスチャーで雨宮に返事をする。

すると再び…


ブーブーブー。


『写真ばら撒くよ?』


はー!?理不尽!むしろ告白してる側の子が可哀想!


「あ、あの返事は…?」


男子生徒が告白の返事を雨宮に聞く。雨宮はひたすら続けた沈黙から動き出す。


「ごめんなさい」


雨宮は男子生徒の告白をきっぱりと断った。


うわぁ、あの子可哀想なんて思いながら見ていたら俺のプリントが教卓に置いてあるのを見つけた。

ここから教卓まではそう距離はない。そして告白している男子生徒の背後。


これはチャンスだ。男子生徒に気づかれないようにプリントを取って帰る。まさに完璧な作戦。


俺はそぉーっと教室の中へと入る。教室では告白のやりとりが続く。


「あ、あの理由を聞いても…」

「じ、実は…」



ーープリントまであと少し…。


「私には黒崎君がいるから…」



「げっ」


あっ、やべ声出ちゃった。


告白をしていた男子生徒が後ろを振り返り、俺と目が合う。


「黒崎…?」

「あはは、やぁ。お、俺はプリントを取りに戻っただけだから…これで失礼するよ」

「おい、待てよ」


うわぁ、なんか顔が怖い!雨宮のやつなにしてくれたんじゃアァァァ!!


「お、お前雨宮さんとどんな関係なんだ?」

「やだなぁ。なんでもないよ!ただの隣人さ!じゃあな!」


ここは去るべし!これ以上いたら殺される。ここは蒸発するのがマイベスト!


「ひ、ひどいよ…黒崎君…私にあんなことしたくせに…」

「おい!黒崎お前なにしたんだぁぁ!!?」


なんもしてねぇわ!何誤解されるようなこと言ってくれてんだ!そもそもあんなことって何!?俺、何したの?


「私初めてだったのに…」


はぁー!?初めてって何!?ねぇ?なんなの!?


「黒崎…お前雨宮さんと………うわぁぁぁん」


泣いちゃったよ!泣いてどっか行っちゃったよ!可愛そすぎんだろ!悪魔かよ!


「てへ☆」


いや、てへ☆じゃねーよ!何してくれたんじゃぁぁぁぁぁ!!

俺のこと手伝ってくれんじゃなかったのか!?明らかに邪魔しにきてるよな!これ!




次の日その男子生徒となんか気まずくなった。



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