3話「知らぬ間に転校生」
予定の投稿日より1日早い投稿となってしまいました!申し訳ありません!
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俺は自分の席へと向かう。俺の席は黒板から見て1番右の最後尾。俺の席は横に窓がある。つまりポカポカであったかいと言うこと。このクラスでの特等席とも言える。
席の決め方は公平にあみだくじで行った。まるで小学生が行う席替えのようだがクラス全員が合意した。反対するもの、不満そうな顔を見せるものは誰一人としていなかった。
あみだくじで決めるメリットとしては仲の良い友達と席が近くなった時、いっぱい喋れる、といったところだ。
それだったら自由の方がいいんじゃないか?と思うかもしれないがいざ先生に文句を言われた時に「先生があみだくじで決めたんじゃないんですか?」
なんて言い訳ができる。
他にも好きな異性と横になったとしても周りに「あみだくじせいだから」
なんてことを言って好きな気持ちを周りに誤魔化せることができる。
デメリットとしては誰の近くになるかは完全運任せになるところだ。だが、クラス全員がそれにかけた。
結果としては俺は完全勝利だった。前の席には和樹そして1番後ろの窓側の席という陣地を得ることに成功した。
「お前、運いいよなぁ」
なんてことをよく言われたが全て予測できたこと。これまでの先生の数字の割り振り方、あみだくじの線をどこに引っ張るかなど全て考えればできたことだった。
って風にカッコつけてみたけど本当は偶然。てへ☆
「!!」
自分の席へと向かう道中ある人物と俺は目が合う。その人物が座っていた席は今まで空席だった俺の隣。俺はこの人物を知っている。そう、雨宮 雫だ。
「よろしくね、奴隷君」
デメリットが1つ増えたかもしれない。よりによってこんなやつ…ってあれ?こいつこのクラスにいったっけ?
「あー、1つ言い忘れていたが今日転校生が来たからな。お前の隣だ黒崎。」
「……あっ、はい」
「よーし、座れー。授業を始めるぞ」
先生は転校生が俺の隣だと告げ、何事もなく授業を始める。
少しくらい説明してくれてもいいんじゃないんですかね!?
「おい、雨宮」
「なに?」
「なんでこんなところにいるんだよ!」
「そりゃあ、私も学生だもん。学校くらい行くけど?」
「いや、まぁ、そうだけど…うーん」
「あなたの服装ですぐに同じ高校だってことが分かったし、ネクタイの色を見れば一目瞭然だった」
な、なんと!!?
俺の通っている高校では学年ごとにネクタイの色が分けられている。1年生は緑色で3年生が赤色。そして俺がいる学年、2年は青色となっている。
「お前…天才か!?」
「あなたがバカなだけでしょ」
んだとー!?馬鹿にしてんのかぁ!?馬鹿って言った方が馬鹿なんだよ!
俺は一応雨宮を睨みつける。ニャー!すると俺の殺気を感じ取ったのか雨宮がこっちを向いて俺を睨みつける。ガォー!
「……スミマセンデシタ」
聞こえているかどうかは分からないが一応雨宮に謝罪しておく。まさか猫と虎くらいの差があるとは思ってもいなかった。
オンナコワイ、キケン、サワルナ。Don't touch!
そうこうしている間に授業は次々と進む。今日の国語の授業は古文。先生がある短歌を読み上げる。
「陸奥の しのぶもちずり 誰ゆへに みだれそめにし 我ならなくに」
ナニソレ?ドユイミ?オイシイタベモノガウッテルオミセノバショトカ?
「じゃあ、雨宮!この意味がわかるか?」
「はい、陸奥の国の信夫の地で作られる乱れ模様のように、私の心は乱れています。こうなったのは誰のせいでもない、あなたのせいですよ?です。」
「おぉー!!」
クラスのみんなからは「すげぇ」と言わんばかりに歓声が上がる。先生も思わずフッと笑ってしまっている。
「あの子凄いよな!悠真!」
和樹が後ろを振り返り俺に共感を求めてくる。だが俺は頷かない。絶対に認めないんだから〜!
「…っ〜!!スゴイデス」
「よな!」
これで雨宮は人気者だ。転校生ってだけで人気者なのにルックスが良くてさらに頭がいいだとぉ!?もう、チヤホヤ確定じゃんかよ!
「凄いですねぇ」
「そんな事ないよ!黒崎君には負けるなぁ」
「おい、お前馬鹿にしてんのか!?」
「いーや、別に」
ぐぬぬぬぬ、こいつぶっ殺してやろうか!おい!
ニャー!と俺はまた雨宮を睨みつける。が、雨宮がこちらを向いた途端すぐにやめた。
いや、別に怖いからなんかじゃないよ?逃げたわけでもないし!ただの戦略的撤退ダヨ?本当ダヨ?
そう言ったわけで逃げた…戦略的撤退!をした俺はまじめに授業を受けることにした。集中して…集中して…集中して…して…て….zzzZZ
「おい、何を寝ている?貴様」
「は、はい!」
思わず寝てしまった俺。先生が接近していることすら気づかないほど爆睡していた。先生がめっちゃ俺を睨んでる。なんか今日睨まれてばっかいるんだけど!?
「次はないぞ?」
「はい!」
敬礼をしながら大きな声で返事をする。クラスの数人がクスクスと笑っている。一人一人ぶん殴って回ってやりたい。
俺は再びノートを取る。集中して…っとこの時ふと思う。
そういや咲のやつ和樹のことが好きなんだよなぁ。佐藤もそうだし。
俺のラブコメウハウハ計画が昨日のたった1日にして終わってしまった。最悪だ…なんか変な奴にも絡まれたし。
俺は何気なく横にいる雨宮へと視線を向ける。
雨宮はまじめに授業を受けている。
……こうして見ると可愛いんだけどなぁ。
「なに?」
視線を感じたのか雨宮が俺に視線を向ける。
「いや、何も…」
「まさか!私でいやらしいことを!?」
「考えてねぇわ!」
思わず大声を出してしまい、クラス全員が俺へと視線を向ける。
「おい、黒崎…次はないと言ったはずだぞ?」
ひぇ〜!ごめんなさいごめんなさい!で、でもこいつが…
俺が雨宮へ視線を向けると何食わぬ顔で俺を見ている。周りの人と同様「何?こいつ」のような顔をして。
「お前、授業が終わったら職員室へ来い」
「は、はい」
くそぉ!雨宮の奴はかったな!許さないぞ…絶対にギャフンと言わせてやるからな!
「あなたバカなの…ふふふ」
必死に笑いをこらえようとしているのだろうけど!笑いが漏れたんだよ!中途半端が1番腹立つわ!
俺は「もう雨宮の方は見ない!」と天使にではなく悪魔に誓った。
要望があれば是非行ってくださいネ!
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