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魔王様には名前がまだない  作者: 春は化物
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中編

勇者「魔王!貴様を討伐しに来た!」


魔法使い「観念しなさい!」


賢者「あなたの悪事もそこまでです!」


武闘家「腕がなるぜ!」


側近「ま、魔王様!あわわわ」


魔王「ぬう?意外と早かったな、勇者たちよ」


魔王「冥土の土産に刻むが良い。我が名は...」


魔王「我が名は...」


魔王「...」


魔王「ここまで来たのは誉めてやる。名を名乗るが良い」


側近「(あ、土壇場でも思い出せなかったんだ)」


勇者「くくく、貴様はこの名を永遠に忘れることはないだろう」


勇者「俺の名は...」


勇者「ああああ!」


側近「?!」


魔王「?!?!」


魔法使い「そして私の名は...!」


魔王「まてまてまてまて」


魔王「え?勇者?なんて?え?」


勇者「ふっ、魔王と言えど老いているな」


勇者「もう一度だけ言う!ああああ 、だ!」


側近「あちゃーっ」


魔王「なんと...」


魔王「なんと、適当な...」


魔王「しかしなぜだろうか。どことなく、勇者にしか名付けられない、特別な名前という感じがする」


魔王「ああああ、か」


魔王「おもしろい、お主の名前、しかと覚えたぞ」


魔王「さて他のものは?名はなんと申す?」


魔法使い「ふふ、怖じ気づいているわね」


魔法使い「聞いて驚きなさい!私は世界最高峰の魔法使い!」


魔法使い「あ、よ!」


側近「?!?!」


魔王「?!?!?!」


賢者「そして私はああ!」


側近「(このパーティーやばいぞ)」


魔王「(このパーティーやばいな)」


武闘家「そして俺はほもだ!」


側近「?!?!!!!?!」


魔王「?!?!!!!?!」


武闘家「おめーら!覚悟しろよ!このほも様の武術でヘルゲート同様葬ってやる!」


魔王「まてまてまてまて」


魔王「え?武闘家、お前それでいいのか?」


武闘家「?」


側近「明らかに前3人とは傾向が違いますよね」


武闘家「傾向?何を言ってるんだ?」


魔法使い「私たちはたまたま世界各地で出会っただけよ」


賢者「勇者様が困ってる私たちを助けてくれたから恩返しのために同行してるだけよ!」


武闘家「俺たちは運命でつながってるんだぜ!」


側近「あ...あ...」


魔法使い「なに?呼んだ?」


魔王「ええい!紛らわしい!!!」


魔王「なぜそんなリアルタイムアタックのノリでつけましたみたいな名前なんだ!」


勇者「タイムアタック?」


側近「しかも絶対武闘家だけタイムアタック度外視の変則的な名前!!」


武闘家「変則的?」


魔王「くそっ!このままでわしがお主らに倒されて伝記に載った場合、恥ずかしいのはわしの方ではないか!」


賢者「さっきから何をぶつぶつ言ってるのかしら?」


勇者「そちらが来ないならこちらからいくぞ!」


魔法使い「まずは側近のビシャス!相手するわよ!」


側近「わっ!いきなり炎魔法はずるい!えーっと...あ!」


魔王「ふむ、あよ、なかなか良い魔法を使うな...」


魔法使い「当然よ!」


魔法使い「なぜなら私の父であり伝説の魔法使い、オジマン直伝だからね!」


側近「オジマン...?」


側近「たしか非公式であり裏設定のキャラのはず...」


魔王「なんだと!非公式の裏設定でも名前があるのか?!」


側近「ええ、たしか、勇者の飼っている犬の子どもの10匹すべてにも、公式の名前があるはずです...」


魔王「なに?!なんてどうでも良いところにまでデータを使っているんだ!」


側近「メタ発言ですねえ」


武闘家「なんなら俺がいつも使っている自転車にも名前があるぜ!」


魔王「うそん?!」

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