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理想の夫がやってきた  作者: 九つ重ねた数字
彼がやってきた
3/13

第二話

あー、雲の上ってこんな感触なのねぇー。なーにこのふわふわー。下手すると腰やらかしそー。


「━━てくださーい」


うん?なんか、向こうから、光がやってくる?


「お━━てー」


あ、あなた様は、まさか、クライムの、ユニ様━━━━━


「ぁあ?」


「あ、起きた。おはようごさいます!二橋さん!」


・・・・なんで私の隣にエプロンを付けた男性がいるのかしらん?


「日曜だからってそんなに寝てたらダメですよー。朝ごはん出来てますから食べましょう!」


・・・夢かぁ。こんな優しそうなイケメンがエプロンで優しい笑顔で私のために朝食をつくってくれるわけないよなー。


「もうちょっと寝ようよー」


夢なら何をしても犯罪にはならないから、と目の前の主夫を布団に引きづりこむ。


「ひゃあ!ちょっと、二橋さん!ダメですよ!朝から一緒に寝るなんて!」


「良いではないか、良いではないかー」


あー、いい匂い。この匂いの匂袋あったら絶対に買うんだけどなぁ。それに黒髪の柔らかさもさいこー。もう、このまま、夢で生きたい。


「もう!そんなに寝ぼけてると、怒りますよ!」


「えー。・・・じゃーあ、チューしてくれたら起きる。」


「え。」


現実では出来ないことは全部やってやる気概だ。現実でチューとか大金積まないかおしどり夫婦でも無いと出来ないだろう。現にうちの高校では学校一の美少女以外に経験したことがあるという話は聞いたことがない。もちろん私も無い。


「ちゅーーーー」


「・・仕方ないですねぇ// チュッ」


!!やったぞ!私も、夢の中でとは言え、人生勝ち組になったぞーー!!!!!


「あ、やっと起きたみたいですね。じゃあ、ご飯食べましょうか。」


「あ、はい。」


もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ━━━ズズズゥ、ふぅ。




・・・・・・・・この夢いつまで続くの?


「ごちそうさまでした」


「あのー・・・」


「はい?」


私は、彼に聞いてみた。


「これは、夢ですよね?」


「いいえ?ここは現実ですよ?」



━━━━━━やだ、私死んだじゃん。


いや、最後の砦がある!あれが!


「じ、じゃあ、私の頬をつねってもらえませんか?」


「現実確認ですか?でも・・・先ほどのキスで僕の唇感じませんでした?あれ結構恥ずかしかったんですけど」


・・・・ありますねぇ。


━━━━━遺書の準備をしよう。


『拝啓 お母様 。汗が止まらない季節になりましたが、私、二橋葵はこの度、男性に対する性的接触により、死ぬことが確定しましたのでご報告申し上げます。もしかしたらそちらにマスコミが行くかも知れませんがご了承くださ


「何してるんですか、いきなり?」


「死ぬ前に遺書を書いているんです・・!」


「遺書って季節の挨拶書きましたっけ?」


くっ、自分のやったことのあまりの大きさに頭が混沌している!


「とりあえず、遺書とかは後にして、お顔洗ってきて下さい。可愛い顔が・・・台無しですよ?」


「サー、イエス、サー!」


男性に可愛いと言われたの初めてー!!!


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


顔を洗うと意識がすっきりして、頭が多少クリアになった。


「で、えっと、君は?」


「あ、はい。━━━初めまして、本日から二橋 葵さんの夫になる、とき、と申します。これから長い間、よろしくお願いします。」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


はっ!?


「き、きみ!大人をからかってはいけないよ!?君はまだ見る限り高校・・・いや、中学生だろう!?」


「そんな子にキスをねだった訳ですが」


うっ。男子からのジト目、好き。


「いや、あれは寝ぼけていたからで・・・・、じゃあなくて!まずどうやって入ったんだい!?」


「えっと・・・これを願ったのは貴女ですよね?」


『私に尽くしてくれる癒し系美少年夫が欲しい(ガチで)』


「それはぁぁぁぁぁ!!!?!!?」


私の社会的死角がーー!!!


「この度、二橋様の願いが神様に届き、受理されたので僕はここに来ました。」


「え?それってつまり・・・私の願い叶ったの!?」


「はい。おめでとうございます。」


いぃぃぃぃぃぃぃぃやったー!!!!


「ただ、まだ正式な法的手続きは済んでいないので、事実婚となります。」


あ・・・そっか。私判子とか押してないしね。


「神様なら私の判子なんていくらでも偽造出来そうなモノなのに。」


「僕があなたに寄り添い、支え、尽くして行くのが今回の願いで最も大切なものと判断されたので、実際にどういう形かは考慮されていないのだと思います。」


「そっかぁ・・・」


・・・いかん。もう、顔が、ニマニマニマと崩れていきそうだ・・!


「えっと、ふつつかものですが、よろしくおねがいします。」


「こ、こちらこそ。よろしくお願いします!」


美少年と書いた昨日の私とシャンパンパーティーしてぇー!!


「それでは挨拶も済んだので、あ!今日葵さんのご予定は大丈夫ですか?」


「はい!丸一日空いております!あと、葵さんとは!?」


「僕は葵さんの夫なのですから名前で呼ぶのは普通・・・ですよね?」


クウッ!!?私の夫が可愛すぎて辛い!でも幸せ!あ、だから辛いと幸せの漢字は似てるんだね!ハハハハハ!!!


「ああっ!?鼻血が出てますよ!」


「え?ああ、大丈夫、大丈夫。これ私にとっての幸せの象徴だから・・・。それで何がしたいの?」


「僕、こっちにこの服装のみで来たので、あらゆる道具や服を買わないと明日から着るものが・・・。」


「すーぐ行きましょう!私、すぐ着替えてくるから、ちょっとだけ待ってて!!」


私の天使ちゃん兼夫の服を買うための買い物デートなんて、例え仕事が入ってても強制キャンセルに決まってるじゃないですかぁ~~アッハハハ~


あ、お財布怪しいからカード使おうかな。いやでも、10万20万じゃ足りない可能性もあるから先に銀行寄ろう。





こうして私は、私の夫兼、旦那兼、婿兼、天使兼、至宝であるとき君と買い物デートに行くことになった!世の未婚、独身、彼氏なしども、ザマァ!


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