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理想の夫がやってきた  作者: 九つ重ねた数字
彼がやってきた
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第十二話

みーっつ

今すぐにでも小学校方式の授業にならないだろうか。いやまあ、数学なんて教えられないけど。


「えー、この18世紀半ばからのー」


とき君がいない授業が寂しい!

昨日はとき君が学校にいないのが普通だと思ってたから何も思わなかったけど、今はとき君がいるのが普通なのだから近くにいたいし私が全部教えてあげたい!数学微妙だけど!

小学校システムなら始まりから終わりまでずっと私がやるから授業の応答から授業後の質疑応答、なんなら授業前後の職員室への移動もとき君と一緒にいれるから余計な粉が付く可能性も少なく出来るし!追加で私達の仲を周囲にアピール出来る。とき君の妻愛と私の夫愛に当てられて、その眩しさに目を潰すが良い。


「でー、これがイギリスのー」


まあ、実際には出来るとしてもしないだろうけど。在校生と婚約関係にあるということが知られた現在、職員室での私の立場は数少ない既婚者たちよりも遥かに上の存在であるので、扱いはド底辺だ。

具体的に言えば、全員が私に対しての舌打ちを隠さない。ちょっと前まで恋愛未経験独身連合の仲間だった同僚は2分程の会話に50回くらい舌打ちを入れてきた。

「それで チッ この件で チッ 二橋先生には チッ 」

みたいな感じで話すので、最早こっちに対して話を理解させないための嫌がらせを仕掛けてきているとすら疑える。

こんな感じで結構舌打ちされるので、言葉の区切り方すらおかしくなってる奴らもいるが、これを代償に早く帰れるのでそんなに気にしないことにした。

これに関しては他の既婚者も一緒だが、まず我々教師は公務員なので定時は夕方くらいに設定されている。ただ基本残業もどきをしてから帰るのだが、夫がいる身としては可能な限り長く近く夫の存在を感じていたいので定時でさっさと帰る。むしろ既婚者でも無いのに定時で帰ると仕事にかなりの余裕があると思われて、翌年の部活顧問会議で顧問を任命させられる可能性すら出る。だから、未婚者は多少なりとも残業をし、既婚者は定時で帰るという暗黙のルールが出来たのだ。

私も仕事するならとき君の近くでしたい。だから、仕事がたくさん残っていようとそれを抱えて家に帰ってするのだ。生徒であるとき君に見せちゃまずい書類もあったりするが知ったことか。とき君なら見てない振りをしてくれる(だろう)し、なんなら私の隣で本を読んでいたと思ったら私の肩に頭を載せて寝てくれるかもしれない!

何この幸せ風景!?一刻も早くこんな生活に浸かりたい!


キーンコ

「はい!ここまで!復習忘れずに!じゃあ!!」

急いで職員室に戻ってうちのクラスの授業の準備をしなくては!



「二橋、あんな早かったか?」

「いや、いつもは2分くらい延びるよな」

「そういや、二橋に婚約者出来たらしいよ」

「「「「「絶殺(ぜっころ)」」」」」






いっそいで準備してクラスに行き、授業が始まるまでの数分でとき君成分を補充してから授業に入った。

「というわけで、この時に起きた━━」


「あいつ先週までと授業ちがくね?」

「完全にとき君意識してやってるよね」

「確かに分かりやすいんだけどこれまでとの差にむかつく。」

「神様、奴に不幸を与えてくださいませ。とき君は私に」

「神に不幸を願うとは何と不埒な。こんなやつより私にください。」


「そこ!静かに!!」

とき君が聞き逃すかも知れないでしょ!


「ねー先生。せめてとき君以外に目を配りながらそれ言ってよ。」

「さっきからとき君の板書スピードを基準にやってるでしょ」

「つーか、私達路傍の石レベルでしか意識されてなくね?」


むっ。確かにとき君を意識するあまり他を疎かにしていたかもしれない。教師としてしっかりしないと流石に格好がつかないか・・・だが

「何私のとき君を勝手に名前で呼んでるか!?二橋君と呼べ!」


「クラスメイト同士の呼称にまで突っ込んでくんな!」

「とき君に文句言われて無いから平気だよーだ!!」

「つまり、私達にも呼ぶ権利がある!」


くっ!とき君の優しさがここまでこいつらを助長させていたか!だが名前呼びは妻の特権!その権利を侵害されてたまるか!


パンパン


「ほれほれ。双方落ち着け」


神楽坂さんが仲裁に入ってきた。うぅむ。彼女の幼い容姿故に余り彼女に対して強く出られないのを私は自覚している。


「今は授業中じゃから喧嘩は後じゃ後。のう?二橋君」

「え、あ、うん。そうだね。葵さんも呼び方くらいでそんなに怒らないで。」


とき君がそう言うならば引きます。奴らめ、首の皮一枚繋がったな・・・


「ちっ、年増に年齢を自覚させる良いチャンスだったのに」

「シワの皮一枚繋がったね・・」

「どんな物でも新鮮さは重要」


やっぱ一発かまそうか。


「皆さんも!葵さんは僕の妻ですから、夫として悪口は許しませんよ!」


「はい。」

「ごめんなさい。自重します。」

「ですから嫌わないでください。」


とき君が一発かましてくれたのでこれで良しとした。録音が脳裏によぎったが、まあこの先にも聞けるチャンスあるよね!



この後の授業ではとき君がいなかったのでいつも通りにこなしてとき君と帰った。いざ買い物へ。

おかしなところがあれば

ぜひごしてきを

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