買い物上手
「という事は、お二人が勇者という可能性も、
ゼロでは無いって事ですね」
ミケルンが、期待を込めた視線でシュウとケンに、そう告げる
「まあ、確かにゼロでは、ありませんね、
俺的には違う様な気がしますけど、
その辺は、日本にケンを返す方法を探す過程で、
何かしら分かって来るんじゃないかと思いますんで、
取り敢えずは置いといて、ラビ子達の買い物を済ます事にしようぜ」
「そうだね、シュウ兄ィ」
「そうですか、分かりました。
では、何から見繕いましょうか?」
「やっぱ、最初は服からかな・・・」
「そうだね、タオルなんかはトレウスに備え付けの物が、
沢山あるから良いとして、
肌着なんかも何着か買っといた方が良いよね」
「畏まりました。
では、子供服のコーナーへと御案内しますね」
シュウたち一行は、ミケルンの案内で店の中にある、
子供服のコーナーへと向かった。
「こちらの棚が子供服となりますので、
ラビ子ちゃん達の好みと、体のサイズに合った服を選んでね、
肌着の関係は、あっちの棚だからね」
「はい、分かりました。
ありがとう御座います。ミケルンさん」
「ありがとう。ネコのお姉ちゃん」
「おい、2人とも遠慮しないで良い服を買うんだぞ、
そうだな・・・旅用の動き易い服を5着ぐらいと、
ちょっと良い店に入れる様な服を2着、
後は、部屋着を3着ぐらいに、肌着を揃えれば良いかな?」
「そうだね、取り敢えずは、そんなもんで着回す様にして、
必要に迫られれば買い足せば良いかな」
「そんな・・・良い服なんて・・・
それに、そんなに沢山無くても着回せますよ」
「良いか、ラビ子、
俺達の国の言葉に『安物買いの銭失い』ってのがあってな、
一見、安い品物の方が得みたいに見えるけど、
安いには、それなりの理由があってな、
素材が悪いとか、作りが悪いとかがあるんだよ、
そうすると、早く傷むから、
何回も買い直す様になって結局は損になるんだ、
その点、高い品物は素材も、作りも良いから長持ちで得って事だな、
勿論、高くって、いい加減な品物もあるから、
買い物をする時には、良く注意して買わなきゃならんがな、
まあ、俺なんかも、そうなんだが、
見て分からない時には、信用が置ける店員さんに聞くのが一番だな、
ここの場合は、ミケルンさんに聞けば間違い無いと思うぞ」
「そうだね、僕やシュウ兄ィが居ない時とか、
分からない時には、そうした方が間違い無いね」
「はい!分かりました。
それでは、何着か私とウサ太で選んで来ますので、
ミケルンさん、教えて下さいませ」
「下さいませ」
「ええ、良いわよ、
2人には良い物を身に付けて貰いたいから、
私の責任は重大ね」
ラビ子とウサ太は、ミケルンの返事を聞くと、
二人連れ立って、子供服の棚へと向かった。
「済まんな、ミケルンさん、
手数を掛けて」
「お世話になります。」
「いいえ、それが私の仕事ですし、
ラビ子ちゃんと、ウサ太君には、
良い物を身に付けて欲しいっていうのも、本心ですしね」
「サンキュな、金額は気にしなくて良いんで、
2人には良い物を選んでやってくれ」
「買い物に備えて、軍資金はタップリと用意して来たからね」




