これが、俺の生きる道
「それで、話を戻すけど、
ホントにシュウ兄ィは、僕を日本に送り返したら、
この街に戻って来て暮らす様にするの?」
ケンが、半信半疑の様子で尋ねる
「ああ、皆と、もう会えなくなるのは確かに寂しいし、
お袋や親父の事は心配だけど、
ケンが向こうに帰れれば、
ケンや、ケンの家族が居るから大丈夫だろ、
それに、俺自体が、こっちの世界の方が暮らし易そうだからな・・・」
「う~ん、確かに僕も、シュウ兄ィには、
こっちの世界の方が合ってるとは思うけれども、
もう2度と、向こうには帰れなくなるかも知れないんだよ?
それでも、シュウ兄ィは良いの?」
「ああ、こっちに来てから、
色んな人と出会ったり、色んな物を見て来たけど、
ホント毎日が、ワクワク、ドキドキの連続で面白いんだよ、
日本に居た頃は、このまま大工職人として親父みたいに年を重ねて行き、
その内に、嫁さんでも貰って年を取って行くのかな?
なんて事を考えていたけど、
こっちの世界は、毎日が初めての連続で、
明日の事さえ、何が起きるのか分からないだろ?
保守派のケンには理解出来ないかも知れないけど、
今の俺は、今まで生きて来た中で、一番充実した毎日を過ごしてるんだよ」
「は~っ、確かに、こっちに来てからのシュウ兄ィの目は、
日本じゃ見た事が無い程に、毎日キラキラしてるもんね、
実は僕、シュウ兄ィが、
その内、日本には、もう帰らないって言いだすんじゃ無いかって、
思ってはいたんだ・・・」
「おう!流石は俺の弟、
良く俺の事が分かってるじゃないか!」
「うん、それに、
シュウ兄ィが自分で、こうと決めた事は、
誰が何を言っても変えないっても知ってるからね、
分かったよ、僕も、もう止めるのは止して、
シュウ兄ィの意志を尊重する事に決めたよ」
「サンキュ!ケン」
「あの~、先程から、
お二人の、お話を聞いていて一つ気になった事があるのですが、
もしかすると、お二人は、過去の勇者様がたと同じ、
『ニホン』という所から来られたのでしょうか?」
それまで、シュウらの会話を黙って聞いていたミケルンが、
そう質問をして来た。
「話しちまっても良いか?ケン」
「うん、シュウ兄ィが信用出来ると思ったミケルンさんなら、
大丈夫だと思うよ」
「おう、サンキュ、
では、ミケルンさんには、お話して置く事としますが、
確かに、俺とケンは、過去の勇者が暮らして居た
こことは、別の世界にある、日本という国から来ました。」
「で、では!シュウさんと、ケン君は勇者様なんですか!?」
「いいえ、それは違います。
この街に来るまでにも、色々な場所で、
過去の勇者様の伝説なんかを聞き込んで来たんですが、
過去の勇者様が、こちらの世界へと送り込まれた時には、
女神様から、目的や、与えられた能力の説明とかがあったらしいんですよ、
でも、俺とケンの場合は、
気が付いたら、この世界に居たんで、
過去の勇者様がたとは違うパターンですね」
「うんうん」
「でも、それは、一般に知られて居ないっていうだけで、
もしかすると、シュウさん達みたいなパターンの勇者様も、
過去に、居らっしゃったかも知れませんよね?」
「う~ん、それは、そうかも知れませんね」
「確かに、そうだね」




