チクワアブは入れる派?
「良し!俺は決めたぞ、ケン、
お前を、日本へと送り返せた暁には、
俺は、この街へと帰って来て、
ミケルンさんとの愛を育みながら生涯を終えるんだ!」
ケンの説明を聞いたシュウは、
声高々に、そう宣言をした。
「ええっ!?シュウ兄ィ、もう日本に帰らないの!?」
「ええっ!?友達からじゃ無いんですか!?」
「一生お仕えします!シュウ様!」
「シュウ兄ちゃん、弟子にしてね」
「うむ、弟よ、日本に帰ったところで、
今後、ミケルンさん以上の女性に出会えるとは到底思えんからな」
「まあ、日本で本物のネコミミが付いてる女性には、
絶対に出会えないだろうね・・・」
「それから、ミケルンさん、
勿論、最初は友達から始めさせて頂きますが、
俺は、決して友達だけで終わる男ではありませんよ、
オデンのネタに、だし汁がジワジワと滲み込んで行く様に、
いつの間にか、貴女の心に滲み渡る予定です。」
「あの~、『俺、良い事言った!』みたいな、
ドヤ顔をしているところを申し訳無いんですが、
『オデン』って何ですか?」
「えっ!?もしかして、こっちってオデンが普及して無いのか?
ダメじゃん!ゴジュウショク様、ちゃんと広めて置かなきゃ!
ゴジュウショク様が、過去に諸国漫遊をしたっていう、この世界で、
まさか、日本人のソウルフードとも言えるオデンが普及して無いとは、
恐るべきは孔明のワナ~~~!!」
スパーン!!
シュウが、だいぶ脱線をし始めた段階で、
再び、ケンからハリセンによるツッコミが入った。
「シュウ兄ィ、話が進まなくなるから、
その辺に、して置いてくれるかな?
それから、ミケルンさん、
『オデン』というのは、僕やシュウ兄ィが生まれ育った国で、
とても人気のある御惣菜で、
野菜や、魚のすり身で作った練り物と呼ばれる具材を、
グツグツと煮込んだり、冷ましたりを繰り返しながら、
ゆっくりと時間を掛けて、味を滲み込ませたもので、
地域によって味が変わるなど、とても深い食べ物なんですよ」
「へ~、それは美味しそうですね、
魚の練り物というのは、この国の首都である『ポルポート』の名産で、
この街にも、偶に行商の方が売りに来る事があるので、
買って作ってみようかしら?」
「ええ、是非作って見て下さいね、
出来れば、大豆で作ったショウユという調味料と、
魚の出汁で煮込んだ方が美味しく出来ると思いますんで、
僕達の魔導車に買い置きが沢山あるから、
後で、シュウ兄ィに届けに来させますよ、
それから、味を良く具材に滲み込ませるコツは、
温まった具材が冷める時に滲み込んで行くそうなので、
煮込んで直ぐ食べるんじゃ無くて、
何度か、温めたり冷ましたりしてからの方が、
美味しく食べられるそうですよ」
「そうなんですか、分かりました。
ケン君、お薦めの調理法で試してみますね」
「お、俺の、お薦め具材はダイコンと、ゆでタマゴです!」
アピール的に、何かケンに負けたと感じたシュウは、
慌てた様子で、何とか2人の会話に割り込む様に、そう告げた。




