釈明(しゃくめい)
「ああ、地方の村などでは、
人族だけや、獣人だけっていう村が、
まだまだ多いと私も聞いた事がありますね」
ケンの言葉に、ミケルンが相槌を打つ
「ええ、僕らが生まれ育った村も、
そんな、村の一つでした。
でも、獣人の方々はいらっしゃいませんでしたが、
村には多くの、犬やネコなどと一緒に、
家族の様に暮らして居る家々があったんですよ」
「ええ私達、獣人族などでも、
動物を家族の一員として、一緒に暮らして居る人は多いですね」
「そうですよね、小さな動植物を育てるのは、
子供達に優しい心や、慈しむといった気持ちを、
そして、大人にも癒しなどといった良い影響を与えると、
僕は思うんで、断然な肯定派なんですよ」
「私も、それについては肯定派ですね」
「それは、良かったです。
それで、シュウ兄ィなんですが、
肯定派も肯定派、言うなれば『超』肯定派でして、
中でも、ネコが大好きで、
子供の頃は『大きくなったら、俺、ネコのお嫁さんを貰うんだ!』って、
宣言をしていたぐらいでした。」
「フフフッ、それは凄いですね、
じゃあ、お宅では当然ネコと暮らされていたんですね」
「いいえ、シュウ兄ィには残念な事に、
母が、ネコの毛アレルギーな上に、
父が断然犬派だったものですから、
ウチでは、僕達の物心がついた頃から、
ずっと、犬が家族だったんですよ、
まあ、僕はネコも犬も大好きなんで関係無く、
かわいがっていたんですが・・・」
「それは、残念でしたわね、
でも、今の話の流れからすると、
私は、当時一緒に暮らせなったネコの代わりなんですか?
確かに、私はネコタイプの獣人ですが、
それでは、幾ら何でも失礼じゃ無いんでしょうか?」
ミケルンが、少しムッとした表情で、そう告げる
「いいえ、それは違いますよ、
貴女を、ネコと同等に考えている訳では無くて、
一人の女性としてプロポーズしたのには間違いがありません、
確かに、ミケルンさんはネコ獣人ですが、
ネコそのものの顔っていう訳では無くて、
僕ら人族に、ネコの耳とシッポが付いているってだけですから、
単純にミケルンさんが、シュウ兄ィの超好みのタイプだったと言うのと、
好みのプラスに働くオプションとして、
ネコミミやシッポが付いていたって事ですね」
「まあ、私がネコに似ているからって理由じゃ無いのは納得しましたが、
好みの顔だったからだけというのは、余り素直に喜べませんね」
「ああ、勘違いをする言い方で、申し訳ありませんでしたが、
シュウ兄ィは、貴女の顔だけを気に入ってプロポーズした訳では、
御座いませんよ・・・」
「え?でも、貴方がたとは初対面ですよね?」
「ええ、確かに僕達と、ミケルンさんとは初対面ですが、
シュウ兄ィには、小さい頃からの特技がありまして・・・」




