ここは誰?わたしは何処?
「実は、今のプロポーズには、
海よりも高く、山よりも深い理由がありまして・・・」
シュウが、雑貨店の店員に謝罪の言葉を述べた後に、
その様なセリフを宣った。
「もしかすると、私の事をからかってます?」
シュウのセリフを聞いた店員が、
ちょっと、ムッとした表情で、そう尋ねる
「ちょっと待って下さい店員さん、
シュウ兄ィは、別に貴女の事をからかっている訳じゃ無くて、
気が動転して、自分が言ってる事を良く理解していないんですよ」
「そうなんですか?」
「はい、シュウ兄ィは、
これまでには無いってぐらいに、真面目に話をしていますよ」
「おいケン、俺、今何か変な事を言ってたか?」
「話が、ややこっしくなるから、
説明の方は僕に任せて、シュウ兄ィは少し黙っててくれるかな」
「お、おう、分かったよケン、
じゃあ、俺は店員さんのネコミミを愛でる事に集中してるから、
何かあったら、また話し掛けてくれや」
「はいはい、
それじゃ店員さん、今からシュウ兄ィが何で変な言動をしているのかを、
今から説明させていただきますね、
その前に、いつまでも店員さんと、お呼びするのは変なので、
お名前を教えて頂けますか?
こちらの方は、僕がケンで、隣が兄のシュウ、
後ろの2人は、旅の仲間のラビ子とウサ太です。」
「宜しく、お願いします。」
「よろしくね、ネコのお姉ちゃん」
「これは、ご丁寧にありがとう御座います。
私は、当『ニャンでも百貨店』の店員で『ミケルン』と申しまして、
余談では御座いますが、私の母が、この店を経営して居ります。」
「ああ、ミケルンさんは、
この、お店のオーナーさんのお嬢さんだったんですね、
僕と兄は大工仕事や、家具の製作をしながら旅を続けて居りまして、
ラビ子達には、旅の手伝いなどをして貰ってるんですよ」
「へ~、そうなんですね、
でも、流れの大工さんって珍しいですよね?
大概の方々は、地域に密着して仕事をされている方の方が、
多いんじゃないんですか?」
「ええ、その方が固定のお客さんが付くから多いでしょうね、
僕達は、訳あって旅を続けているので少数派だと思います。」
「あら、私ったら、
差し出がましい事を、お聞きしてしまいまして、
申し訳御座いませんでした。」
「いえいえ、別に聞かれて困る事でも無いんで大丈夫ですよ、
それよりも、まずは、シュウ兄ィの事から説明させて頂きますね、
初めに、僕たち兄弟の生い立ちからなんですが、
僕達が生まれ育った村には、獣人の方が居らっしゃらなくて、
最近、村から出て来て、初めてお会いしたんですよ・・・」




