イッツ フォーリンラブ
「さってと・・・まずは、
ラビ子達の日用品なんかを買ってから、
ホテルの方に向かった方が良いな」
「そうだね、シュウ兄ィ」
「お手数をお掛けして申し訳御座いません、シュウ様、ケン様」
「どうも、ありがとうね、兄ちゃんたち」
商業ギルドを出たシュウ達一行は、
取り敢えずは、ギルドの受付嬢イイネに聞いた
商業ギルドの提携店で特別割引が利くという『ニャンでも百貨店』へと、
向かう事とした。
「え~と、イイネさんから聞いた話だと、
ここら辺に、目的の店があるんだと思うんだがな・・・」
シュウが、目的の店があると思われる辺りへと到着をしたので、
周囲をキョロキョロと見回して探して見る
「シュウ様、あの店では御座いませんか?」
「おお!確かに、あそこっぽいみたいだな、
でかしたぞ!ラび子」
シュウが、ラビ子の指差す方向へと目を向けると、
そこには、白いネコの顔から『ニャンでもあるよ!』との、
吹き出しのセリフが描かれた壁看板を掲げた店が見て取れた。
「いえ、恐れ入ります。」
「そんじゃ皆、行って見ようぜ」
「うん、シュウ兄ィ」
「畏まりました。」
「は~い!」
「いらっしゃいませ~♪」
シュウが先頭に立って、店のドアを開けて中へと入ると、
店員らしき女性が出迎えの言葉を掛ける
「一目見た時から決めてました!
俺と結婚して下さい!」
「は、はい?け、けっこん?って・・・もしかして、結婚!?
えぇ~~~っ!?な、な、な、何なんですか!あなたは!?
もしかしなくても、多分、私達って初対面ですよね?」
突然のプロポーズの言葉に、
驚きの声と表情で、取り乱している様子の女性店員が、
そう質問を投げ掛けた店内に、
突然、スパ~ン!という小気味の良い音が響き渡る
「僕の兄が、突然、失礼しました。
シュウ兄ィ、この店員さんが、
シュウ兄ィの、どストライクなのは分かるけど、
店に入っての第一声が、いきなりのプロポーズってのは、
幾ら何でも、失礼が過ぎるだろ?」
ケンが、シュウの頭へとツッコミを入れた
巨大なハリセンを肩に担ぎながら、そう告げた。
「ねぇねぇ、お姉ちゃん、
ケン兄ちゃんって、背中に魔導リュックを背負ったままだったけど、
あの、大きな紙の束みたいなのって、どこから出したんだろうね?」
「シッ・・・ウサ太、
それは言わないお約束よ」
「あ・・・ああ、そうだなケン、
お嬢さん、突然、失礼な事を申し上げまして、
どうも、すいませんでした。」
ケンの、巨大ハリセンに依るツッコミで、
唖然とした表情を浮かべていたシュウが、
目が覚めた様に、ハッとした様子で頭を下げながら、
そう、女店員へと告げた。




