シンナーに気を付けて壁塗んな
「そう言えば、俺達がヒザガミさんに魔法を付与した家具を売った時に、
ヒザガミさんが、前に勤めていたっていう商会に、
アイデア込みで売り込むって言ってたんですけど、
俺達が余り家具を売ると、営業妨害になっちゃいませんかね?」
「アイデア料も込みで、代金を貰っちゃったもんね」
ラッセン村の商人ヒザガミに、自分らの造った家具を売った際に交わされた
やり取りを思い出したシュウとケンの兄弟が、
少し心配そうな表情を浮かべながら、受付嬢のイイネに質問をした。
「ああ、それでしたら大丈夫ですよ、
ヒザガミ様が、シュウ様方からお買い上げになられた家具を売り込まれたのは、
アナポーの街にある『ワンだふる商会』という所なのですが、
商会長のブル・シンバシ氏は、
直ぐに高級家具では一般の方々に売れないと見抜かれまして、
『堅石』という、とても堅い石があるのですが、
その石を縦横30センチ、厚み2センチ程にカットされまして、
その表面にペースト状の魔石を塗ってから、
保温の魔法を付与した物を特許出願されてから売りに出されて、
まだ販売を開始されてから、幾らも経っていないのですが、
既に大ヒットを予感させる問い合わせが、
全国から寄せられているとの報告を受けて居りますので、
シュウ様方の家具とは購買層が被るご心配は御座いませんね」
「お~、保温プレートを独自に考え付いたのか、
流石、プロの商売人は一味違うぜ」
「僕達は、普通に良い物を造れば売れると考えていたもんね」
「この商品が順調に売り上げを伸ばしたら、同時に特許を出願して置いた
暑い時期用の『冷却』の魔法が付与されたプレートも売りに出されるそうですよ」
「その辺の抜け目の無さが凄いな、
この涼しい時期に、暑さの事も考慮出来るんだから本物の商売人だな」
「そうだね、暑い時期には冷たい飲み物や、
冷たい食べ物なんかが欲しくなるもんだもんね」
「はい、常に一歩先の事を考える商人が、成功できる商人ですから、
大店を構えて居られる商会長様は、そういった方々が多う御座いますね、
では、家具の方の買取手続きが終わりました様なので、
御確認の方を、お願い出来ますか?」
イイネが、奥の部屋から、
シュウとケンのギルドカードを乗せたトレイを持ちながら、
やって来た職員からトレイを受け取り、
シュウ達の方へと差し出しながら、そう告げた。
「え~と・・・うん、俺の方は大丈夫みたいだな、
ケンの方は如何だ?」
「うん、大丈夫だよ、シュウ兄ィ」
2人は、ギルドカードに、
家具の売上金が等分されて預金されているのを確認してから、そう言った。
「そうで御座いますか、今回は当ギルドと、
良いお取引を交わして頂きまして、ありがとう御座いました。
では、最初にお約束した通りに、
当ギルドと提携が御座います商店と宿泊施設の御案内を致しますね、
ちなみに、両店の名前の方は、
『ニャンでも百貨店』と『ホテル・ニューコシガヤ』となっております。」
「どっかで聞いた様な気がする名前のホテルだな・・・」
「教師と生徒が居そうな名前だよね」




