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異世界ブラザーズ  作者: シュウさん
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レトロジー

「木材の加工かこう機械が・・・いや、電気を使って無いから加工魔導具になるのかな?

まあ、どっちでも良いか、

ちゃんと稼働かどうする事が確認出来たから、次は家の方を見てみるか」


「うん、僕は、あの家の事をおぼえて無いみたいだから楽しみだな~」


2人が100坪程の広さを持つ亜空間の奥の方に建っている、

木造平屋建ての住宅へと移動すると、

ケンが遠くからでは見えなかった

手こぎ式の井戸が庭に設置されているのに気が付いた。

「あっ!?何か、あの井戸に見覚えがある様な気がする!」


「あ~、夏になると良く、

あの井戸の水で冷やしたスイカを切って、

縁側に腰を下ろしながら食べてたんだけど、

ケンの大好物だったから何となく憶えているのかもな」


「へ~、そうだったんだ、

でも僕、今は、それ程スイカ好きじゃ無いよね?」


「多分、冷蔵庫で冷やしたスイカが冷た過ぎるんじゃ無いのか?

あの井戸水で冷やしたスイカの温度がケンに合った温度だったんだろ」


「あ~、そういうのって有るかもね」


「まあ、取りえずは中に入ってみようぜ」


「うん、そうだね」


2人は縦棒たてぼうの木のさんに、

縦長たてながのダイアカット・ガラスがめ込まれた

玄関の引違ひきちがい戸をガラガラと開けると、

内玄関の三和土たたきへと足をみ入れた。

「お~!なつかし~な~

何もかも当時のまんま再現されてるみたいだな」


「そうなんだ、何か昔の内玄関て、

今の建物のより広かったんだね」


「ああ、ちょっとした客なんかの場合は、

玄関先で対応したりするのが普通だったからな、

近所のオバちゃん達と、お茶を飲みながら長話したりとかな」


「へ~、そんな感じに使っていたのか~」


広い内玄関からは、真っ直ぐに廊下が伸びてり、

廊下の突当りには扉をもうけずに、直接、台所へと入れる様になっていた。

「奥の台所は見えてるから分かると思うが、

廊下の左右の片開き戸が居室とかだな、右手前の扉から説明するが、

一番手前が洗面・浴室だな、その隣が便所で、奥が寝室、

廊下左側は手前が客間で、奥が居間・食堂の順番だな」


「なる程、そこら辺はオーソドックスな感じだね、

ところでシュウ兄ィ、ちょっと気になったんだけど壁にスイッチやコンセントとか、

天井にも照明が付いて無いよね」


「ああ、その点だけは当時と違っているな、

さっきの加工魔導具なんかも、そうなんだが、

電気を使っていないからはぶかれてんだろうな」


「照明が無いのに、廊下とか暗い感じがしないよね」


「ああ、外の謎空間の壁とか天井と同じで、

この建物も壁や天井自体が光を発してるみたいだな」


「シュウ兄ィ、僕、部屋が明るいと眠れないタイプなんだけど・・・」


「その点に付いては、この家自体が魔導具みたいなもんだろうから大丈夫だろ、

ためしに、この廊下の照度を落としてみるか『少し暗くなれ』」

シュウが頭でもねんじながら、声にそう出してみると、

廊下全体がわずかに暗くなった感じがした。


「お~、ちゃんと暗くなったね」


「今は、ケンに分かりやすい様に声に出して言ったんだけど、

一人で居る時なんかは、頭で念じるだけで暗くしたり明るくしたり出来ると思うぞ」


「へ~、地球に居た時に、

体が不自由な人の為に、頭で念じるだけで動かせる家電の研究をしてるって、

ニュースで見た事があるけど、こっちの世界ではすでに実現してるんだね」


「ああ、魔法の万能感ばんのうかんはハンパじゃ無いからな、

この手の異世界がよく、中世のヨーロッパぐらいの生活水準にとどまっているのって、

べつに技術を発展させなくても、魔法で何でも出来るからなんだろうな」


「あ~、そういえば僕も、

地球の技術の発展は、人がより一層いっそうの便利さを求め続けて来た結果だって聞いた事があるな」


「ああ、それが良い事か、悪い事かは分からんがな」


「何で?生活が便利になる事は良い事なんじゃ無いの?」


「それにともなって環境破壊とか、資源の枯渇こかつとか起きてるだろ?」


「シュウ兄ィも、そんな事を考えたりするんだね」


「そりゃ、どういう意味だ?

これでも俺は、一般的な常識人だと自負じふしてるんだがな」


「でもシュウ兄ィ、照明やテレビを点けたままで、

エアコンをビンビンにかけて夜寝たりしてるじゃない」


「俺は欲望に忠実な男だからな、

環境の保全とか、省エネ及び自然エネルギーの利用とかは頭の良い人達に任せて、

その日その日を気楽に生きて行くのだ!」


「何かソレって、ダメで残念な人がする発言だよね」


「グオッ!まさか身内にディスられるとは・・・」


「シュウ兄ィ、変な事言ってないで、

取りえず家の中も見てみようよ」


「おっ、そうだな、まずは洗面・浴室から順に見て行くとするか」

シュウは、そう言うと廊下の一番右手前にある扉のノブをひねって開けた。


「そ~コレコレ、ウチの洗面所には洗濯機が置かれてたんだよな、

魔導具だから本体からコードが出て無いのをのぞけば、

当時の物にソックリだな」


「シュウ兄ィ、この洗濯機の横に付いてるローラーって何に使うの?」


「そうか、この洗濯機は、引っ越しの時に全自動のヤツに買い替えたから、

ケンは憶えて無いんだな、

このローラーは横の取っ手を手で回して、洗濯物をしぼる機能があるんだよ」


「へ~、洗濯物の脱水が手動だったんだ~

何かレトロな感じで面白いね」


「ああ、こっちなんかも、今みたいに洗面化粧台じゃなくて、

壁に、鏡と蛇口と洗面台が付いてるだけだしな、

風呂は勿論もちろんユニットバスじゃなく、壁や床がタイルりで、

当時は気付かなかったけど風呂桶は総檜造そうひのきづくりだったんだな」


「今ほどじゃ無いにしても高かったんだろうね」


「ああ、風呂や温泉が好きな親父の事だから張り込んだんだろ」


「でも、この香りをぐと多少無理してでも付けたい気持ちが分かるよね」


「ああ、良い香りだな、何か気持ちがやわらぐ気がするぜ」

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