在庫一掃セール
「やっぱり、『あの』家具を造られて、
ヒザガミなる人物へと、お売りになられたのは御二方でしたか・・・
『コウヤサン・ウォーター』の際に流れて来た当ギルドの情報に、
『アノ家具の製作者も、お二人ではないか?』との、
推測が含まれておりましたので御確認をさせて頂いたのですよ」
情報の確認が獲れた商業ギルド受付嬢のイイネが、
ホッとした表情でシュウらに、そう告げた。
「そう言えば、ヒザガミさんが、
アナポーの街まで売りに行くとか言ってたもんな・・・」
「そうだね」
「そこで、ご質問なのですが、
あの家具と御同等な品物の在庫は御座いませんでしょうか?」
「ああ、それだったら、
途中の村で全然売れなかったのが魔導車に乗っかってるぜ」
「アナポーの街を出てから1セットも売れなかったもんね・・・」
「その、在庫の家具は如何程お持ちでしょうか?」
「そうだな・・・確か、6人掛けの食卓セットが8組と、
応接用のセットが3組ぐらいだったと思うな」
「うん、それで合ってるよシュウ兄ィ」
「良かった!
その、在庫品家具を全部お譲り頂けませんでしょうか?」
「あ、ああ、俺達も在庫がハケれば助かるけど、
そんなに仕入れても大丈夫なのか?
この街に来るまでにも、途中の村で売りには出してみたけど、
全然売れなかったんだぞ?」
「そうだよね、仕留めた魔獣の肉とかの方が、
良く売れたもんね」
「普通の村々では、そうですよ、
商業国家と言われる我が国でも、
地方の村などでは、自宅使いの家具などは自作するか、
村で手先が器用な人などに造って貰い、作物などと交換するのが主流ですからね、
普通使いする家具に芸術性などを求めるのは、上流階級の方々となりますね」
「俺達としたら、普通の人達にこそ使って欲しいんだけどな・・・」
「でも、格安で売りに出してたとはいえ、
自作したらタダだし、作物と交換してる人達だと、
確かに、僕達が造った家具が売れないのも分かるよね」
「そうですわね、それで家具の方なのですが・・・」
「ああ、全部売るって事で構わないぜ」
「僕達も魔導車がスッキリするから助かるもんね」
「こちらも助かります!
アナポーの街で、偶々お二方の家具を御購入された
こちらの街の富裕層の方が、
ご自宅に御友人の方々を招かれての、
ホーム パーティーの際に御自慢をされたみたいで、
その御友人の方々から口コミで広がったらしく、
『同等品が入手出来ないか?』との問い合わせが、
当ギルドへと多数寄せられていて困っていたところだったんですよ」
「へ~、俺達がホントに使って欲しい、
お客さんのニーズとは、ちょっと違ってるけど、
俺達が造った家具を欲しいって言ってくれるのはホント嬉しいし、
すんっごく有り難いな」
「うん、やっぱ家具は使われてナンボだしね」




