最高の贅沢
「イイネさん、お客様のお現金の方が御用意出来ました。」
その時、受付カウンターにてシュウ達と会話を交わしていた
受付嬢のイイネの背後から、商業ギルドの制服に身を包んだ職員が、
硬貨を乗せた木のトレイを両手に持ちながら、そうイイネへと声を掛けた。
「ああ、ありがとう御座います。カバティーさん
シュウ様、お現金の方が御用意出来ました様なのでご確認をお願い出来ますか?」
イイネは、その職員からトレイを受け取ると、
シュウの方へと、そのトレイを受付カウンターの上に乗せてから、
差し出しながら、そう告げた。
「はいよ、え~と、ひ~ふ~み~よ~・・・うん!
確かに50万ギル、ピッタリで間違いねぇな」
「うん、ちゃんと有ったね」
「ありがとう御座います。
では、こちらの受取証の方にサインをお願い出来ますか?」
「はいはい・・・これで良いかな?」
「はい、大丈夫で御座います。
ありがとう御座いました。」
「よっしゃ、そんじゃ軍資金も用意出来た事だし買い物に行くか!」
「そうだね、シュウ兄ィ」
「畏まりました。シュウ様」
「うん!シュウ兄ちゃん」
「皆さま、申し訳が御座いませんが、
もう少々だけ、お時間を頂いても宜しいでしょうか?」
無事に現金が用意出来たので、
早速、買い物へと出掛けようとするシュウ一行へと、
イイネが問い掛ける
「ああ、取り敢えず、この後は日用品の買い物に行ってから、
宿探しをするだけだから構わないけど、まだ何かあるんですか?」
「はい、少々ご別件でお伺いしたい事が御座いまして・・・
その代わりと言っては何で御座いますが、
当ギルドと業務提携をしております商会や宿への御紹介状を御用意致しますので、
どちらも格安でご利用になれますように手配させて頂きます。」
「おおっ!そりゃ助かるな、
ちなみに、その宿に大き目の浴場とかあるかな?」
「そこ、大事だよね」
「はい、そちらの宿は自家源泉の温泉が御座いまして、
大浴場の方は、源泉掛け流しとなって御座いますね」
「それって、マジで!?」
「シュウ兄ィ、念願の温泉に入れるね」
「はい、疲労回復などに非常に優れた泉質で、
この地域でも、大変人気のお高い温泉で御座います。」
「それは、是が非にでも入らねば!
それで、イイネさん、その別件の用事ってのは何なの?」
「はい、実はお二人にお伺いしたいと申しますのは、
ラッセンという村にて、ヒザガミなる商人に、
魔法が付与された家具をお売りになられなかったかという事なのですが・・・」
「ヒザガミ・・・ああ!ラッセン村のヒジガミ村長さんの、
甥っことか言ってたヒザガミさんの事か!ああ、売った売った。
確かに、ヒザガミさんに魔法を付与した家具を売ったのは、
俺達兄弟で、間違い無いぜ!」
「あれ以来、全然売れて無いけどね・・・」




