購入理由
「はい、冒険者ギルド様には、
いつも、治療薬なども大量に御購入頂いておりますので、
私共、商業ギルドと致しましても上得意のお客様ですね」
『コウヤサン・ウォーター』を冒険者ギルドが、
大量に定期購入する事が決まったと聞いたシュウとケンが、
『なる程』と納得するのを聞いた受付嬢のイイネが、
そう相槌を打った。
「あれ?でも、今イイネさんが言ったみたいに、
治療薬が簡単に手に入るなら、
態々、『コウヤサン・ウォーター』まで買わなくても良いんじゃないの?」
「そう言えば、そうだよね、
治療効果で言えば、上級の治療薬の方が高いんだから、
腕の良い冒険者の人とかなら、そっちを買いそうだもんね・・・」
「いえ、冒険者ギルドが目に付けたのは、
治療効果よりは、身体の欠損を補完する効能の方が高いですね、
毎年、一流と言われる冒険者の方々が、
僅かな不注意から大怪我を負われ、
引退をせざる負えない状況へと追い込まれる事が見受けられますので・・・」
「一流の冒険者の人だったら、
身体の欠損を直す薬とか、有名な白魔法使いの人とかに、
治して貰えそうなもんだけど違うんですか?」
「そうだよね」
「はい、極一部にはエリクサーを使われたり、
教会の御高名な白魔法使いの方などに治して頂ける場合も御座いますが、
お金さえあれば手に入ると言った類のものでは御座いませんから、
殆どの方々が、諦めざる負えない状況だったんですよ」
「なる程な、需要に対する、
供給の絶対数が足りて居ないって事か・・・」
「確かに、それだったら治療に時間が掛かるものの、
割合に手に入り易い『コウヤサン・ウォーター』を使おうと考えるね」
「はい、冒険者ギルドでは、
一流の冒険者の方や、人格的に優れた冒険者の方が、
身体に欠損を負われる様な大怪我をされた場合に、
臨時の職員として雇い入れ、
『コウヤサン・ウォーター』で治療した後に、復帰を促すという判断の様ですね」
「そうか、後進の指導とかをして貰いながら給料を払って、
その、お金で『コウヤサン・ウォーター』を購入して治し、
その後に復帰して貰うって算段だな」
「確かに現場から離れない方が、早く復帰できるかも知れないね」
「はい、場合に寄っては、
お給料と一緒に『コウヤサン・ウォーター』の現物支給なども、
考えられているそうです。」
「そこまでして、冒険者ギルドが残って欲しい人物とか言うと、
冒険者としての腕前が超一流ってだけじゃ無くて、
尚且つ、人格の方も兼ね備えた人とかなんだろうな」
「そうだね、そう言う人って、
自分だけなら回避できたのに、
仲間を庇うとかして大怪我とかを負いそうだもんね」




