『ピョロリの街』の商業ギルド
「いらっしゃいませ~♪
当、商業ギルド『ピョロリ支店』へと、
ようこそお出で下さいました。
私、本日の受付業務を担当させて頂いて居ります
イイネ・ソトヅーラと申しますので、宜しくお願い申し上げます~」
シュウら一行が『ピョロリの街』の商業ギルドを訪れて、
入り口の扉を開き、中へと足を踏み入れると、
正面の受付カウンターに座って居た女性の一人が、そう声を掛けて来た。
「こんちはイイネさん、俺はシュウっていうんだけど、
口座から現金の、引き出しをお願いしたいんだけど良いかな?」
シュウは、背中から降ろした魔導リュックの中から取り出した
建築業ギルドのカードを受付嬢へと差し出しながら告げる
「はい、現金の御引き下ろしですね、
本日は、お幾等ほど御要り用でしょうか?」
「そうだな~、一応多めに50万ギルでお願い出来るかな?」
「50万ギルで御座いますね、畏まりました。
では、おカードの方をお預かりさせて頂きまして、
現金の方を御用意致しますので少々お待ち下さいませ。」
受付嬢のイイネは、シュウからギルドカードを預かると、
受付カウンターの背後の奥にあったドアを開けて、
中へと入っていった。
恐らく、あのドアの向こう側にはカードの残高確認が出来る魔導具や、
金庫などが収められていると思われる・・・
「日本の銀行みたいに、その場で残高確認が出来る訳じゃ無いんだな」
「う~ん、コッチにはオンラインで繋がったパソコンとかは無いんだし、
前にシュウ兄ィも聞いたと思うけど、
魔導具って、昔ほどでは無いにしても未だに高価な代物らしいから、
本店とかじゃ無きゃ、受付嬢一人に対して一台なんて無理じゃ無いのかな?」
「それも、そうか・・・」
「あっ、先程の女性が、もう戻られて来ましたよ」
シュウらの後ろで大人しくしていたラビ子が、そう告げたので、
シュウとケンが見やると、確かにドアの向こうへと消えたばかりのイイネが、
こちらへと戻って来るのが目に入った。
その手に何も持っていないところを見ると、
現金の引き下ろしが完了した訳では無いと思われる・・・
「シュウ様、先程お預かりを致しましたカードを御確認させて頂きましたところ、
商業ギルド『アナポー支店』より、
多額の御振り込みがされているのが確認されましたので、
カードの御口座の方へと御記載させて頂きましたが、
もしかして、お客様方は『アナポーの街』にて、
『コウヤサン・ウォーター』の売り出しに御尽力を頂いたという
シュウ様とケン様の御兄弟で、お間違いが御座いませんでしょうか?」
「え?ええ、確かに俺たち兄弟は、
『コウヤサン・ウォーター』の売り出しには協力しましたが、
尽力したっていう程の苦労をしたって訳じゃありませんよ?」
「偶々発見した源泉を教えてあげたのと、
発売の為の資金を融資しただけだもんね」




