定番のオーブ
「では、シュウ君から順番にオーブに手を乗せてくれるかな?」
『ピョロリの街』の警備兵の詰所まで同行したシュウ一行は、
シュウとケンの建築業ギルドカードを確認した後、
犯罪歴などを確認できる魔導具のオーブに手を乗せる様に指示される、
ちなみに、盗賊らは同じ様にオーブで罪状を確認した後、
詰所に居た兵士らによって牢屋へと投獄された。
「はい、分かりました。」
シュウが、オーブに右掌を下にして乗せると、
緑の柔らかな光がオーブの中央に浮かび上がった。
「オッケー、何の問題も無い様だね」
「先程の、盗賊達の時はオーブが赤く光ってましたけど、
それが、犯罪を犯したっていう証拠になるんですか?」
「ああ、そうだね、
犯罪を犯した者が手を乗せると、あの様に赤い光を放って、
罪状が表示される仕組みになっているんだよ」
「へ~、罪状まで分かるなんて凄い技術ですね」
「ああ遠い昔、勇者イチローが考案して開発された魔導具で、
今では、世界中の保安機関や冒険者ギルドなどで使われているね、
じゃあ次は、ケン君がやってくれるかな」
「はい。」
ケンも、シュウと同じ様にオーブの上に右掌を乗せると、
これまた同じように緑の光が点った。
「良し!ケン君もオッケーだ」
「あの~、私達もやった方が良いんでしょうか?」
ラビ子が、やや不安そうな様子で兵士に問いかける
「いいや、君らがシュウ君の奴隷なのは、
先程ギルドカードで確認してるから良いよ、
所持している奴隷が犯罪を犯していた場合でも、
その奴隷の主人がオーブに手を乗せた段階で、その旨が表示されるからね」
「あれ?ラビ子達は、ある事情があって犯罪奴隷になったんですけど、
俺がオーブに乗せた時には赤くなりませんでしたね」
「ああ、犯罪奴隷になった場合や、服役してる場合なんかは、
脱獄でもしない限りは表示されないんだよ、
多分、既に罪を償っている最中だって扱いなんだろうね」
「なる程、それは、いちいち取り調べが長引かないから、
良いシステムですね」
「そうだね、それでは、これで一応の手続きの方は完了したから、
シカバーネ奴隷店の方に馬車や、ご遺品の方をお返しに伺う訳だが、
君達、時間の方は、まだ大丈夫かね?
急ぎの用事がある様だったら、私の方でお預かりして、
責任を持ってお届けしてくるが・・・」
「いえ、急ぎの用は特別ありませんし、
シカバーネさんを護衛してて亡くなった冒険者の方々の事とかも、
そちらで、お伺いしたいので御一緒します。」
「そうか、それは助かる、
やはり、事件に関わった当事者の人からの話の方が、
細かいニュアンスなどを正確に伝える事が出来るから、
御遺族の方々に、大切な人の最後の姿を知らせられるしな、
それでは、お手数だがご足労を願えるかな?」
「はい、ご一緒をします。」




