続々・荒野の用心棒
「シュウ兄ィ、あれって何かな?」
今日も今日とて、ルクシア共和国の首都へと続く街道を、
亜空トレーラーハウス、通称『トレウス』で飛ばすシュウとケンであったが、
助手席に座るケンが、街道から外れた荒野の方を指差しながら、
兄のシュウへと尋ねた。
「うん?おお、何か大きな土埃が上がってるな、
遠目だから何となくしか分からないんだが馬車っぽいな・・・
何で、態々街道から外れた場所を走らせてるんだ?」
「シュウ兄ィ!あれって、後ろから馬で付いてる連中に攻撃されてる様に見えない!?」
「あっ!ホントだ!
前を走る馬車を、囲む様に馬を走らせてる護衛みたいな人が落馬したぞ!
このままじゃ、どう見ても追い付かれちゃいそうだから加勢しに行くぞケン!」
「オッケー!シュウ兄ィ」
シュウは、すぐさまトレウスのハンドルを切ると、
街道を外れて、荒野の逃走劇が行われている方向へと向けてアクセルを踏み込んだ。
オフロードタイプの車両ほどでは無いものの、
元々シュウ達が使っていた仕事用の車両がベースの為、
そこそこに、地表からの離れが大きく、
サスペンションも異世界補正が為されている様で、
シュウらが乗ったトレウスは、見る見る間に馬車へと追い着いて行った。
「あっ!馬車の横を馬で走ってた護衛みたいな人達の、
最後の一人も、やられちゃったみたいだな、
よ~し、まくるぞ~!ケン」
「こんな緊迫した場面にネタを挿めるシュウ兄ィを尊敬するよ・・・」
「いや~、それ程でも」
「一応、言っとくけど、褒めてるんじゃ無いんだからね?」
「うん、知ってる」
そんな会話を続けながらも、見る見るトレウスは馬車へと近づいて行き、
ついには、馬車を馬に乗って追い駆けている10名ほどの集団へと追い着いた。
「お~い!オッサン達、一応は聞いて置くが、
あんたらは、前の馬車を襲おうとしている盗賊で間違いが無いかな?」
シュウは、盗賊らしき集団へと追い着くと、
車窓を開けて、一応そう尋ねてみる、
男らは判を捺した様に、薄汚れた風体にヒゲ面で剣や槍を手に持つという、
人が10人居れば、10人ともが『この人、盗賊です。』と言うであろう見た目をしていたが、
もしかして、もしかすると、長旅に疲れた兵士の皆さんかも知れないので、
確認するだけは、してみたのであった。
「うん?魔導車だと?
おい!ガキ共、この辺では見掛けない魔導車に乗ってるところを見ると、
お前ら、コウガ王国の商人か何かか?
前の馬車を片付けてから、お前らの魔導車も奪ってやるから覚悟しやがれ!」
「ギャハハハッ!大人しく魔導車を渡せば命だけは助けてやるぜ!」
「但し、後ろの穴は無事で済むか分からんがな!グヒャハハハッ!」
「はい!盗賊決定です。
今から本艦は、殲滅モードへと移行します。」
「アイアイサー!」




