表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ブラザーズ  作者: シュウさん
7/215

アイテムボックス

「アイテムボックス?」

ケンは、聞き覚えが無い単語に頭をかたむけている


「ああ、何でも沢山たくさん入る便利倉庫ってとこかな、

まあ、タイプにっては色んな禁則事項きんそくじこうとかがある場合があるから、

その辺は試してみるしか無いかな・・・」


「ふ~ん、そうなんだ」


「と言う訳で、早速調べて見ようぜ」

シュウは、ケンに、そう告げるとトラックの荷台に手を伸ばした。


「あっ!?」

シュウの行動を見守っていたケンの目に、

荷台の部分に差し掛かると消え去ってしまうシュウの手が見えた。


「おっ、生き物も大丈夫なタイプらしいな」


「シュウ兄ィ、手が消えちゃってるけど大丈夫なの?」


「ああ、別に痛みとか圧迫感あっぱくかんとか感じて無いから、

何とも無いぞ」


「そうなんだ、良かった。」


「じゃあ、次が、いよいよ本番だな」

シュウは、そう言うと荷台に頭を近づけて行った。


「だ、大丈夫なの?シュウ兄ィ・・・あっ!?」

先程の手と同じ様に、荷台部分に差し掛かったシュウの頭が消え去った。


頭の部分だけ消えているシュウは、体を色んな角度に動かしている事から、

アイテムボックス内を見回している事がうかがい知れる、

そして、少しするとシュウの体がプルプルと震え始めたので、

それを見ていたケンは少し不安を感じて声を掛けた。

「シュ、シュウ兄ィ大丈夫?」


すると、アイテムボックスから頭をズボッ!と引き抜いたシュウが、

突然、大声で叫びを上げる

「神様ありがとう!ひねくれ神なんて言って御免ごめんなさい!」


「きゅ、急に大声でどうしたの?シュウ兄ィ」


「まあ、お前も中をのぞいて見ろよ、

普通に空気とかもあるから大丈夫だからさ」


「う、うん、分かった。」

シュウにうながされたケンも、先程のシュウの様に頭を荷台へと近付けて見る、

すると突然、視界が切り替わった。


「うわ~!すごいや・・・」

まず、ケンの視界に映ったのは、先程消え去ったトレントの丸太であった。


そして周辺へと目をやると、床はザラザラとした質感の白地に、

点々とゴマぐらいの大きさの黒い石が混ざった石畳いしだたみが広がっており、

壁や天井は、その境目さかいめがハッキリとしない乳白色の光を発する物質で構成されていた。


視界の右手には、数々の木材を加工する大型機械や、

どこに消えてしまったのだろうと2人が首をひねっていた

使い慣れた大工だいく道具が置かれているのが見てとれる、

そして、中でも一番ケンが驚いたのは、奥の方に見える家であった

木造瓦屋根もくぞうかわらやね平屋ひらや造りの純和風住宅が建っており、

コンパクトながらも、センスの良さがうかがい知れる和風庭園まで付いていた。


「見た事が無い家だけど、何か父ちゃんが造る家の雰囲気ふんいきがあるな・・・」

その家は見覚えが無いものの、シュウとケンの父親にして大工名人の圭太の作風が感じられる、

全体の広さとしては、壁や天井の大きさがハッキリとはしないものの、

住宅の敷地しきち面積や石畳の広さからいって、ケンは大凡おおよそ100つぼ程度と感じた。


「この中って凄いね!シュウ兄ィ」

ケンは、先程のシュウの様にズボッ!とアイテムボックスから頭を引き抜くと、

驚きの感情を伝える


「だろ?これで、俺達は作業場と住居の心配をしなくてむ様になった訳だ

しかも、移動式だから、地球に帰る方法を探しながらの旅を続ける間、

ずっと使えるぜ」


「そうだね、でも、こんなに凄い機能が付いたトラックに乗ってたら、

僕達、狙われるんじゃ無いのかな?」


「俺も、その辺が気になってたんだが、

どうやら大丈夫みたいだぜ、あれを見てみろよ」

シュウがトラックの方を指差したので、

ケンが見てみると・・・


「デカっ!?」

視線の先には、広げた羽根の幅が50センチ程もある、

黒アゲハに似た形の蝶が何匹も飛んでいるのが見えた。


「確かに、ビックリするほどデカいが、

見どころは、そうじゃなくて蝶の動きを見てみろよ」


「蝶の動き?

・・・あれ?」


「気付いたか?トラックに近付くと進路を変えているだろ」

確かにシュウが言う様に、蝶は草原に咲く花の蜜を求めて飛び交っているのだが、

トラックに近付くと、そこに見えない壁があるがごとく進路を変えているのが分かった。


「何かバリアみたいなものが働いてるって事かな?」


「ああ、まあ異世界風に言うなら結界だな、

色々と試してみなきゃ分からないけど、

魔獣とか、俺達に悪意を持って近づく連中にも有効な仕様しようになってるんじゃ無いかな?」


「そうなの?」


「ああ、俺達みたいに異世界へと送られるヤツらは、

一部の例外を除けば、大概たいがい特殊とくしゅ能力とかが与えられるんだよ、

でも、俺達の建築魔法って便利だけど、特殊性から言えばビミョーだろ?

その分の補正として、このトラックが与えられたんじゃないかって俺は考えるね」


「じゃあ、このトラックは僕達にしか使えないって事?」


「ああ、多分、俺達のみか、

俺達が許可を与えた人物にしか使えない仕様になってると思うぜ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ