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異世界ブラザーズ  作者: シュウさん
68/215

副業(ふくぎょう)

「やあっ!」


「ブモッ!?」

全長が3メートルをはるかにえると見られるいのしした魔獣が、

自分の半分にも満たない身長の少年に、その突進とっしんを正面から受け止められて、

おどろきを多分たぶんふくんだ鳴き声を上げる


「よし!ナイスだぞケン」

動きが止まった魔獣の首筋くびすじへとシュウが飛び乗ると、

すぐさま魔導まどう釘打くぎうにて、魔獣の脳天のうてんをバス!バス!バス!と打ちぬいた。

一瞬いっしゅんビクッと硬直こうちょくした魔獣は、

ぐにグルリと白目をいてからズズ~ン!と横倒よこだおしに倒れた。


「なかなかの大物がれたねシュウ兄ィ」

ケンが、魔獣の転倒てんとうに巻き込まれない様に飛び退いていたシュウに、

そう話し掛ける


「おう!鮮度せんどが落ちない内にトレウスにはこんで解体しちまおうや」


「オッケー」

ケンは、そうシュウに返事を返すと、

魔獣との戦闘に入る前に、あらかじめ近くにかくして置いた魔導バックを持って来ると、

魔獣の死体を収納しゅうのうした。


シュウとケンが、アナポーの街を出発してから3週間程が経過けいかしており、

魔導トレウスにて軽快けいかいにゴッホヨリ街道かいどうを飛ばして来たので、

ルクシア共和国の首都であるポルポートまでの道程みちのりの半分ほどを消化していた。


当初の予定では、途中とちゅうで寄る街や村で2人がつくった家具かぐを売ったり、

いたんだ建物たてもの修理仕事しゅうりしごとを受けてかせぎながら進む予定であったが、

ラッセン村や、アナポーの街は、普通の村や街とくらべると比較的ひかくてきゆたかであった様で、

シュウ達が造る様な精密せいみつな造りの家具を購入こうにゅうしたり、

本職ほんしょく大工だいくに家の修理をたのむと言った人は極少数派ごくしょうすうはで、

ほとんどの人は自分で家具モドキを作成さくせいしたり、

素人修繕しろうとしゅうぜんにてますのであったのだ。


そこで、当初の予定を変更へんこうして何が一番売れそうかと調べてみたところ、

腕の良い猟師りょうしが居る街や村が意外と少なく、

食肉が不足している所が多い事が判明はんめいしたので、

2人は魔獣を狩って食肉を売る事にしたのであった・・・とは言っても、

魔獣を仕留しとめる事は出来る2人ではあったが、

如何いかんせん、大型の魔獣などを解体する技術ぎじゅつが無いので、

最初の内は、鳥タイプや小動物タイプなどの魔獣を仕留めて、

うろおぼえの知識ちしきにて血抜ちぬきをしてから、

内臓ないぞうを取りったのちに、皮剝かわはぎなどをして売っていた。


それが、る日の事、

いつもの様に街道を魔導トレウスで飛ばしていると、

突然とつぜん大きな牛に似た魔獣が、街道横の森から飛び出して来て、

その時にトレウスを運転していたケンが急ブレーキをんだものの、

間に合わず衝突しょうとつしてしまい魔獣は命を落としてしまったのであった。


トレウスには状態保存じょうたいほぞん付与ふよほどこしてあったので傷一つ付かず事無ことなきをたが、

牛の魔獣の死体を、このまま置いて行くのは流石さすが勿体もったいが無いと2人で話し合った結果、

何とか解体してみようとの話になり、取りえず死体を魔導バックに収納しゅうのうしてから、

トレウスの荷台にだいにある、謎空間内なぞくうかんないの家の台所のテーブルの上にシートをき、

その上に、牛魔獣の死体を出した所、元々から台所に完備かんびされていた

見た目は昭和の香りただよう魔導冷蔵庫が突然とつぜん

自動解体機能じどうかいたいきのうをお使いになられますか?』との音声をはっしたのであった。

シュウが直感的に「ああ、たのむ。」と告げると、

テーブルの上の牛魔獣は、かわと骨と魔石を残して消え去り、

シュウが魔導冷蔵庫の扉を開けて見ると、そこには500グラムぐらいの大きさごとに、

ビニールで真空しんくうパックめされた肉とモツが入っていたのであった。


「こんな便利な機能きのうが付いてるなら、取説書とりせつしょでも付けといてくれりゃ良いのに・・・」

「ホントだね、シュウ兄ィ」

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