プロフェッショナルとは・・・
バス!バス!バス!バス!
夜の静寂に、圧力を掛けた空気が破裂する様な音が鳴り響く。
「うぎゃ~~!」
「痛ぇ~~!」
「た、助けてくれぇ~!」
「だ、誰かコイツを抜いてくれ~!」
その音が鳴る度に、教団幹部らの用心棒たちが上げる、
野太い声の悲鳴が上がった。
「おいおい、俺達の腕を切り落とそうとしていた お前らが、
高が釘が手足に刺さったぐらいの事で、情けない悲鳴を上げるなよな、
まあ、『じゃあ、自分が刺さってみろよ』って言われたら、勿論の事、断るがな」
先程の、音と悲鳴は、シュウが右手に掴んだ魔導釘打ち機から打ち出される、
5寸釘(約16.5センチのクギ)で手や足を立木や石畳に、
縫い止められた用心棒たちが上げたものであった。
シュウがセッセと、ケンが無力化した用心棒たちが逃亡できない様に、
文字通り『クギを刺している』間にも、ケンの躍動は続いて、
ほんの20分も経たないうちに教団幹部らを含めた全員が、
磔の刑に処された。
「口の割には大した事が無い連中だったな、
偉そうなセリフをほざいていたのに、
ケンの服にさえも剣を掠らせる事が出来なかったじゃねぇかよ。」
全国クラスの見切り技を持つケンは、
相手が強敵の場合、自らの服を掠らせる程のギリギリで避けて隙を作らせてから、
敵を討つのである。
「シュウ兄ィ、それは、この人達が、
僕達が子供だからって舐めて掛かって来ていたからだよ、
最初から身体強化のスキルとかを使われて居たら、
僕も、もう少し梃子摺ってたと思うよ」
「それも、含めての連中の実力だろ?
もしケンだったら、相手が子供でも最初から油断したりはしないよな?」
「うん、全国大会とかだと、
僕より年下でも優れた使い手が、いっぱい居たからね、
僅かな油断が負けに繋がる世界だったから、
どんな相手でも常に最初から集中して臨んでいたよ。」
「その心構えが持てなかった時点で、
この連中がプロフェッショナルじゃ無かったって事さ・・・
さて、そんじゃ俺がここでコイツらが逃げ出さない様に見張ってるから、
ケンは街に戻って、一応商業ギルドのミコチャさんに声を掛けてから、
警備兵とかを呼んで来てくれるか?」
「うん、分かったよシュウ兄ィ、
そんじゃ、ひとっ走り行って来るね」




