一転(いってん)
「何!?アポペン様が今、魔導通信機で通話されて居られる相手が、
カメオーク閣下だと・・・!?」
「そんな馬鹿な・・・」
「何かの間違いでは無いのか!」
アポペンの取り巻き達が驚きの表情を浮かべながら会話を交わす。
「はっ!・・・はっ!・・・勿論で御座います。
閣下より、この街の領主へと任命して頂いた時に、
お掛け頂いたお言葉は一言一句忘れずに覚えて居ります。」
「どうやら、本物のカメオーク閣下の様だぞ・・・」
「うむ、アポペン様の御様子からすると、その様だな・・・」
「あの様な小僧どもが閣下の知り合いだと言うのか?」
「まあ、俺達じゃ無くて主の知り合いなんだけどな・・・」
「そうだよね、シュウ兄ィ」
「・・・はい!勿論で御座います閣下、
我が国より、この街の領主へと選ばれた私が、
国の法を侵す筈が御座いません、
彼らの事は、この私アポペンが責任を持って対処を致しますので、
どうか、御安心をして下さいませ!
・・・はっ!では、これにて失礼をさせて頂きおば致します。」
アポペンは、通信機なので音声しか相手に届かないのにも関わらず、
ペコペコとお辞儀をしながら魔導通信機の通信ボタンを切った。
「いや~、君達も人が悪い、
カメオーク閣下のお知り合いというのなら、
一言、そう告げてくれれば良いのに・・・」
アポペンが、シュウに魔導通信機を差し出しながら、そう言った。
「いや、俺達のじゃ無くて、
俺達の主の知り合いなんだけどね、
それに、俺達が国家元首が後ろ盾だと言っても、
実際に、こう話してみなきゃアンタ信じなかっただろ?」
「うっ、確かに・・・」
「アポペン様、今の通信相手がカメオーク閣下と仰られるのは、
間違い御座いませんのですか?」
「何かの、お間違いなのでは・・・」
「いや、私が首都に行き、この街の領主へと任命された際に、
閣下が自ら、私へとお掛け頂いた
お言葉を話されていたので間違い無いぞ」
「そんな・・・」
「それでは・・・」
「うむ、先程閣下とのご通信でもお話した通りに、
今回の『水』に関連する事は全て、彼らの思う様にして貰う事となったので、
皆も心する様に!」
「それでは、我がオーストリッチ・マウス教団が破滅してしまいます!」
「何とか、御考え直しをアポペン様!」
「お願いします!」
「ならん!国家元首閣下が彼らの後ろ盾となると仰られているのだ、
であれば、私としては彼らの権利を保障する他はあるまいな、
この街としても、あの『水』が有名になればなる程に潤うのは間違い無いからな、
そうだ!領主としての権限で、あの『水』に関する利益には非課税とするか・・・?」
「いやいや、それは、この街で他の商売をしてる人達が面白く無いだろうから、
普通に税金を取る様にしてくれよ」
「そうだよね、依怙贔屓は駄目だよねシュウ兄ィ」




