料理長を呼べ!
「では失礼して、一口」
ポキール神父は、シュウから借りたコップで泉の水を掬うと、
ゴクリと一口飲み干した。
「どうですか?神父さん」
「何か体調とかに変化はありませんか?」
「むっ、むおおおおっっっ!」
「どっ、どうしたんだ!?神父さん」
「どこか苦しいんですか!?」
「む、む、むちゃくちゃ体調が良くなりました。」
「ズコッ!・・・って、
体調が良くなったなら叫ばなくても良いじゃないですか」
「ホントですよ、凄くビックリしました。」
「いや~失礼しました。
実は私は、ここ十数年ほどの間ずっと関節痛持ちでしてな、
ちょっと体を動かすたびに、体の節々が痛んでいたのですが、
この水を飲んだ途端に、その痛みが綺麗サッパリと消え失せましたのですよ、
それで、思わず嬉しさの余り雄叫びを上げてしまったという次第です。」
「そ、そうなんですか、
ま、まあ、長年に渡り患って来たっていう、
関節痛が消えたってんだから、効果の程はあったんだよな」
「そうだね、効果があるみたいだから、
後は、この水がどの程度の効能を持ってるかを詳しく調べたいよね」
「それでしたら、商業ギルドに優秀な鑑定士が常駐して居りますから、
そちらで詳しく調べて貰えば良いのでは無いですかな?」
「へ~、商業ギルドで、そんな事やってくれるんだ」
「それだったら、下手な鑑定用魔導具を買って来るよりかは、
正確に調べて貰えるだろうね」
「はい、勿論の事、
鑑定して貰うのには料金が掛かりますが、
かなりの事まで分かると思いますぞ」
「そうですか、そこでご相談なんですけど、
商業ギルドの鑑定結果が、伝説に謳われていた様なスゴイ物だった場合、
商業ギルドと提携して、教会の利益となる様な商売を始めても良いでしょうか?
その場合、孤児院の子供たちに協力して貰ったり、
新しく、信用が出来る人を雇い入れたりしなければならないかも知れませんが・・・」
「今回は、土地も建物も守る事が出来たけど、
教会に何らかの力が無いと、将来的に不安が残るもんね」
「はい、それは御二人の思う通りにして頂いても構いませんぞ、
当教会で何らかの仕事があるとなれば、
子供らも街に仕事を探しに出なくても良くなりますし、
人手が足りない様でしたら、卒業した子らを呼び戻せますしな、
それに、御二人からの借金も早く返せるかも知れませんからなハッハッハッ」
「ハハハ、お貸ししたお金は営利目的って訳じゃ無いんで、
利子も要らないし、いつ返して貰っても構わないんですが、
確かに、孤児院の卒業生なら身内みたいなもんだから信用出来そうですね」
「ポン吉くんの兄弟みたいなもんだもんね」
「はい、孤児院の出身と言うだけで働き口が見つからなかったり、
不当に安い賃金でこき使われたりしている子らが居る様なので、
私としても助かりますな」
「そうと決まれば、泉の水を汲んで持って行くのに、
何か容器を用意しなきゃならないな・・・そうだ!
神父さん、教会に向かう上り坂の両脇にあった竹林から、
太めの竹を1本貰っても良いかな?」
「そうか、竹で水筒を作るんだねシュウ兄ィ」
「勿論、竹を採るのは構いませんが、
竹で水筒を作るのですか?」
「ええ、竹には浄化作用があるらしくて、
竹で作った水筒に水を入れて置くと、水が長持ちするらしいんですよ」
「オニギリを竹笹で包んだりするしね」
「ウチの教会では偶に、
竹の中に川魚を入れて蒸し焼きにしたりしますな」
「へ~、それは随分と洒落た調理法ですね」
「和食の調理法とかで、ありそうだよね」
「はい、ゴジュウショク様が記された『ビミしんぼ』という、
料理のレシピ集に載っていましてな、
何でも、ユー・ザーンなる美食家が絶賛したと書かれてましたな」
「ゴジュウショク様にマサカの盗作疑惑が!?」
「こっちの世界の人は知らないだろうから大丈夫じゃ無いかな?」




