続・商業ギルドにて・・・
「では、合わせて商業ギルドの口座もお作りになりますか?
お預かりの方は1万ギルより承って居ります。」
アナポーの街にある商業ギルドで受付嬢を務めるミコチャが、
シュウ達に、そう尋ねた。
「ああ、じゃあ2人分の口座を作ってくれるかな」
シュウが自分の財布から2万ギル、
大銀貨2枚を取り出してミコチャへと差し出した。
「チッ、たった1万ギルずつかよ貧乏ブラザーズめ・・・」
「おいミコチャ、今、何か言わなかったか?」
「何か、とっても不穏当な発言が聞こえた気がしたよね」
「お客様方の、気の所為じゃ御座いませんか?
オホホホ・・・」
「後で、魔導車に置いてある2千万ギルも預けに来ようかと思ったんだが、
やっぱ止めとくか・・・」
「そうだね、シュウ兄ィ」
「よっ!輝いてるぞリッチマン・ブラザーズ!」
「お前はホントに・・・」
「ある意味、分かり易くて、
裏表が無さそうではあるよね・・・」
「では、1万ギルずつで、
お二人の御口座を開設するという事で宜しいでしょうか?」
「ああ・・・もう良いから作ってくれよ」
「名義はシュウとケンで、お願いします。」
「畏まりました。
お二人は、どちらかのギルドに所属してお出ででしょうか?」
「ああ、2人とも建築業ギルドに所属しているぞ」
「所属したてのホヤホヤだけどね」
「そうですか、でしたら建築業ギルドのカードの方に、
預け入れや、お引き出しの機能を付けられますが如何なさいますか?」
「それって、新しくカードを作らなくても、
1枚で両方に使えるって事なのか?」
「へ~、割と進んでるんだね」
「はい、どちらのギルドにも所属して居られない方は、
商業ギルドの口座カードをお作りになられますが、
建築業ギルドや、冒険者ギルド所属の方々は、
ギルドカードを共用される方が多いですね」
「その方が便利だよな?」
「うん、何枚もカードを持ち歩かなくて済むもんね」
「そんじゃ、建築業ギルドのカードで頼むわ」
「お願いします。」
シュウとケンは、建築業ギルドのカードを取り出して、
ミコチャへ手渡した。
「はい、確かにお預かり致しました。
では、契約書類などを作成する作業の方に入らせて頂きますので、
少々お持ち下さいませ」
ミコチャが、土地の購入や、口座開設に関連する書類と、
シュウ達から預かった
お金とギルドカードを持ってギルドの奥の部屋へと入って行った。
「陛下から預かってるお金だけど、
俺とケンの口座に1千万ギルずつ入れて置いた方が良いかな?」
「そうだね、何かあって別々に行動しなきゃならない時とかが、
あるかも知れないから、その方が良いかもね」
「そんじゃ、そうしとくか・・・」
「うん」
「お待たせ致しました。
こちらが、お二人の口座登録を済ませましたギルドカードとなります。
どうぞ、お受け取り下さいませ」
10分程してから戻って来たミコチャが、
お盆に乗せられた2人のギルドカードを差し出しながら、そう告げた。
「おう!」
「ありがとう御座います。」
2人が、お盆からギルドカードを手に取り見てみると、
カードの裏側に、商業ギルドのマークが刻印されていた。
「教会の土地の手続きの方は、
係の者が進めて居りますので、もう少々お待ち下さいませ」
「ああ、分かった。
そう言えば、この後、
ここの近所にあるっていう店に魔導バックを買いに行くんだが、
ミコチャは、その辺の事は詳しいのか?」
「商業ギルドの人は知ってそうだよね」
「はい、魔導バックの流通には私共も携わって居りますので、
ある程度の事は分かりますが、どの様な事柄でしょうか?」
「大した質問じゃ無いんだけど、
俺達みたいな職人が使うのに便利なタイプが、あるのか聞こうと思ってな」
「そうだね、知らないで買ってから、
使い勝手が悪かったなんて勿体無いからね」
「ああ、それでしたら、
多くの職人の方々や、冒険者の方々が好まれる、
背中に背負うタイプの魔導リュックが宜しいのでは無いでしょうか?」
「へ~、リュックのタイプがあるのか」
「学生時代に慣れてるから、その方が良いかもね」
「はい、職人さんや冒険者さんは両手が自由になっていた方が良いとの事なので、
殆どの方がリュックのタイプを使われてお出でですね」
「こりゃ、良い事を聞いたな、
俺達も、魔導リュックを買う事にしようぜ、
サンキュな、ミコチャ」
「うん、そうしようねシュウ兄ィ、
ミコチャさんも、ありがとうね」
「どう致しまして、
お二人の、お役に立てた様で良かったです。
2千万ギルを宜しく」
「一言多いっつ~の!」
「ハハハ、ホントぶれない人だよね」




