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異世界ブラザーズ  作者: シュウさん
28/215

古き良き日本家屋(にほんかおく)

「まあ、冗談じょうだんはさておき・・・」


「冗談なのかよ!

神父の割には下品な冗談だなオイ!」

「異世界ジョークってヤツじゃないかな?シュウ兄ィ」


「当教会を造られたゴジュウショク様の為人ひととなりは、

ある程度のご理解りかいいただけましたかな?」

ポキール神父は、とてもあの様な下品なジョークを飛ばしたとは思えない

慈愛じあいに満ちた微笑ほほえみの表情を浮かべてシュウ達に問い掛けた。


「切り替え早っ!?

ええ、偉大いだいな人物だったのが良く分かりました。」

「人間的にも尊敬そんけい出来る人だったんだね」


「それは良かったです。

そう言えば、お二人は一流の大工だいくとなるために、

修行しゅぎょうの旅を続けてられるのでしたな、

お二人の目から見て当教会の建物はは如何いかがでしたかな?」


「はい、俺や弟が親父おやじから教え込まれた大工だいく仕事の中には、

こちらの様な本格的ほんかくてき木造建築物もくぞうけんちくぶつふくまれていましたから、

とても勉強になりました。」

鴨居かもいの上のかしりなんてホント見事だよね」


「本職の方々は流石さすがですな、

こちらの建物を建築けんちくするさいたずさわられた職人しょくにんの方々がだんだん々と減り、

透かし彫りなどの技術も途絶とだえてひさしい昨今さっこん

あの造形の美しさに気付けるのは、お二人が本物という証拠しょうこなのでしょうな」


「いえいえ、俺達兄弟なんて、

こと大工仕事に掛けては鬼のような親父にスパルタで教え込まれただけなんで、

本物というよりも、英才教育のおかげと言ったところですね」

「ものすごい種類の欄間らんまおぼえさせられたよね」


「そうなのですか、それは貴男方あなたがたを一流の大工にするという

お父上なりの親心の現われなのでしょうな」


「そうなのかな?俺には親子のじょうなんかには関係無く、

ただしごかれていただけだった様な気がしたけどな」

「それはそうと神父さま、

こちらの建物は結構けっこうアチコチ痛み始めている様に見受けられますが・・・」


「ええ、先程もお話しましたが、

石造りやレンガ造りの建物が主流しゅりゅうとなって来たために、

当教会の様な木造建築物を手掛けられる職人の技が途絶えてしまいましてな、

直そうにもたのめる様な業者がありませんのですよ」


「それでしたら色々と良くして頂いたお礼に、

俺達で直せる所だけでも直しましょうか?」

「ナイスアイデアだよ!シュウ兄ィ」


「それは大変ありがたいお申し出なのですが、

お二人に手直しして頂いたところで当教会はもう・・・」


「ポン吉も何か言ってたけど、何か困った事でもあるのでしょうか?」

「良かったら僕達にもご協力出来る事が何かあるかも知れませんから、

お聞かせいただけませんか?」


「いえ、旅のお方にお聞かせする話では・・・ふむ、

こうして、この時にお二人とお会い出来たのも、

ゴジュウショク様の何かしらのおみちびきかも知れませんな、

では、お二人にはご相談では無く、

年寄りの愚痴ぐちにでも少しお付き合いいただくとしますかな」


「ええ、是非ぜひ聞かせて下さい」

「お付き合いします。」


「では、立ったままでは何ですから、

居間へとご案内をいたしますので私に付いて来ていただけますかな?」


「「はい、分かりました。」」



「どうぞ、こちらの部屋にお入りください。」

シュウ達がポキール神父の案内で長い板張りの廊下を歩いて行くと、

一つの部屋の前で神父が立ち止まり、障子戸しょうじどの様な引き戸を開けてから、

2人に中へと入る様にうながした。


「「これは!?」」

部屋へと足をみ入れたシュウとケンはおどろきの声を上げる


「ホッホッホッ、驚かれましたかな?

板張りの床とは触感しょっかん大分だいぶちがいますからな、

この床材ゆかざいはゴジュウショク様が、

どちらからか大量に探し出して来た筒状つつじょうの植物を、倉にて保存してありまして、

定期的にボランティアの信者の方々がんでは交換こうかんして頂いてるんですよ、

当教会では『ストローマット』と呼んで居りまして、

板張りの床の様に冷たく無く、吸湿性きゅうしつせいにもんだすぐれものですよ。」


「まさか、この世界でもたたみめぐえるとは!」

「それに囲炉裏いろりまで、ちゃんとあるよ!シュウ兄ィ」

そう、シュウ達が案内された居間は、広さ20畳程の畳敷たたみじきの部屋で、

その中央では囲炉裏に掛けられた鉄瓶てつびんがシュンシュンと白い湯気ゆげを上げていたのだ。


「タタミ・・・ですか?」


「はい、俺達の故郷こきょうにもコレに良く似た床材がありまして、

その快適性かいてきせいからの人気が高かったんですよ」

「畳と囲炉裏の組み合わせは最強だよね」

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