表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ブラザーズ  作者: シュウさん
26/215

インドのソバ屋

「兄ちゃん達、ここがアナポーの街をおとずれた人が必ず一度は見に来る、

中央広場の大噴水だいふんすいだよ」

ポン吉の案内で、まずシュウ達が連れて来られたのは、

街のほぼ中央部に位置する直径100メートル程の円形の広場と、

その中央部にある大きな噴水であった。


「あの噴水のき出してる部分の両脇りょうわきに立ってる、

2人の男性像だんせいぞうは誰と誰なんだ?」

「片方の人は貴族みたいな服装だけど、

もう片方の人の服って、お坊さんみたいな恰好かっこうだね」

ケンの言う通りに、片方の男性像は日本の僧侶そうりょが着る様な、

袈裟けさに良く似た服装をしていた。


「あれは、この国が共和国になる前のルクシア王国だった頃に、

当時、アンデットモンスターが我が物顔で徘徊はいかいしていた

この地を、たった2人で解放してアナポーの街を造り上げられた

初代御領主しょだいごりょうしゅの『ペンパナ・アナポー辺境伯へんきょうはく様』と、

その御親友ごしんゆうの『ゴジュウショク様』の像なんだってさ」


「へ~、今はこんなに発展はってんしているけど、

その当時は、そんなに危ない場所だったんだな」

「良く、そんな場所を2人だけで解放出来たね」


「うん、おいらもそう思うんだけど、

孤児院こじいんで、おいら達に勉強を教えてくれてる先生の話じゃ、

アナポー様は優れた白魔法の使い手で、広範囲こうはんい浄化じょうか魔法を得意とくいとされていて、

ゴジュウショク様も謎の魔法や武器を駆使くししてアンデット共を殲滅せんめつしたんだってさ」


「謎の魔法と武器って?」


「何か『クズキリ』とか『うどんミョウガイン』とか言う魔法で、

アンデット共を焼きつくくしたり、

『どっこいしょ』とか言う武器でアンデット共の頭を穿うがってたんだって」


「『クズキリ』と『うどんミョウガイン』?

もしかして『九字切きじきり』と『不動明王印ふどうみょうおういん』の事か?

確か火炎呪かえんじゅとか言う不浄ふじょうな者を焼き尽くす経文きょうもんがあった様な・・・」

「『どっこいしょ』って『独鈷杵どっこしょ』の事かな?

『とっこしょ』とも読むらしいけどね」


「兄ちゃん達、ゴジュウショク様に興味きょうみがあるのか?

だったら、おいら達が住んでる孤児院がゴジュウショク様が造られた

『コウヤサン教会』の敷地しきちにあるから案内しようか?」


「『コウヤサン教会』だって?

そりゃ非常ひじょう興味深きょうみぶかいネーミングの教会だな」

是非ぜひ、案内してもらおうよシュウ兄ィ」

「ああ、そうだな、そんじゃ教会までの案内をたのめるかポン吉」


「うん!おいらにまかせといてよ!

おいらが先に行くから、兄ちゃん達ははぐれない様に付いてきてね」


「ああ、分かった。」

たのんだよポン吉くん」


ポン吉の案内で『コウヤサン教会』を目指して歩くシュウ達は、

道すがらアナポーの街の造りをポン吉から簡単に聞き出しておく、

アナポーの街は中央広場を中心として東西南北に分かれており、

ゴッホヨリ街道に面した西側の門から街へと入ると、

宿屋や冒険者ギルドなどの商業区が広がっていて、

反対の東側には、この地をおさめるアナポー辺境伯の子孫しそんの、

やかたを中心とする行政区ぎょうせいくが、

そして、中央広場の南側には一般住民たちの住宅が立ち並び、

最後の北側には、小高い丘の上に建つ『コウヤサン教会』から見下ろす

手入れが行き届いた山林が広がっているそうだ。


「兄ちゃん達、あの丘の上に見えて来たのが『コウヤサン教会』だよ」

街中を抜けて、天に向かって真っ直ぐに伸びている、

地球の杉に良く似た木々の木立こだちの中の道を少し進んだ辺りで、

ポン吉が、シュウ達にそう声を掛ける


「おお~っ!あれが『コウヤサン教会』か」

「ある意味、想像通そうぞうどおりの光景こうけいだよねシュウ兄ィ」

ポン吉の声で、丘の上へと目をやったシュウ達のひとみには、

教会という呼び名を持つものの、

日本の寺に似たドッシリとして横に長い造りの建物がうつった。


「変わった形の建物だろ?

ルクシア共和国って色んな民族が移住して来てるから、

建物の形も村や街によってバラバラなんだけど、

教会の建物が、あんな建ち方をしているのは、

この街だけなんだってさ」


「まあ、この街は木造の建物が多く建ってたけど、

建物の造り自体は、明治とか大正の頃みたいなデザインだったからな、

お寺みたいな造りの建物なんて、他にはまず無いだろうな」

「うん、教会の建物なら、

そのほとんどがヨーロッパ風の石造りになってるんだろうね」


「兄ちゃん達、あれが『ゴジュウショク様』のお墓だぞ」

木立の中の坂道を上がり切った場所は、

お寺の境内けいだいの様に広めなスペースとなって

その右手の方向に立つ石碑せきひの様な物を指差しながらポン吉がげる


「へ~、そうなのか、そんじゃ手でも合わせて置こうかな」

「そうだね、シュウ兄ィ」


2人が、大きな一枚岩を掘り出した様な墓へと足を運ぶと、

その表面に文字が掘り込まれているのが目に入って来る、

そこには、『我が親友、珍古建三ここに眠る

      アナポーの街領主ペンパナ・アナポー』ときざまれていた。


「へ~、『ゴジュウショク様』の本名ほんみょうは、

『チンコタツゾウ』って名前だったのか・・・」

「子供の頃にイジメられたんだろうね」


「ホッホッホッ、その文字は『ウズタカケンゾウ』と読むんだそうじゃ」


「あなたは・・・?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ