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異世界ブラザーズ  作者: シュウさん
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異世界名物

明けまして、おめでとう御座います。

「お二人とも、オーブをごらんになるのは初めてですか?」


「え?ええ、初めてですね」

「オーブ認識にんしきって割と一般的いっぱんてきな物なんですか?」


「はい、オーブや『神観かみみの石』など呼び方は、

その国や地方によってマチマチなのですが、

5歳になった時点で、その子に合った職業やスキルなどの、

確認をおこな儀式ぎしきがあるのですよ、

お二人は子供の頃にお受けになったおぼえが御座ございませんでしょうか?」


「え、ええ、俺達の村は山奥にあったもんで、

そういう一般的な常識には当てまらない事が多かったですからね」

「そうそう、そんな儀式ぎしきも知らなかったしねシュウ兄ィ」


「そうなのですか、大概たいがいは地方の村の子供でも、

近くの街まで連れて行って受けるのですけどね・・・」


「そ、そうだ!じゃあ、シンシアさんもその儀式を受けた事があるんですよね」

シュウは話の流れを変えようと思って、

そう、シンシアにたずねた。


「え!?ええ勿論もちろん、私も受けましたが・・・」

何故なぜかシンシアはあわてた様に答える


「へ~、シンシアさんの天職てんしょくってなんだったんですか?」

何気なにげなくケンが聞いてみると、

シンシアは、たずねたケンがビックリする程の動揺どうようを見せた。


「わ、わ、わ、私の天職ですか!?

そ、その~、え~と・・・」


「どうかされたのですか?」

見るからに挙動不審きょどうふしんとなったシンシアに疑問ぎもんを感じたシュウが尋ねる


「い、いえ!どうもしませんとも!

わ、私の天職でしたよね、私の天職はゴニョゴニョじょうでしたね」


「え?今、何て?」


「だから、ゴニョゴニョ付嬢つけじょうです。」


「天職が受付嬢だったんですか?」


「違うぞ兄ちゃん達、シア姉の天職は『美人受付嬢』だよ」

それまで、シュウ達の横でだまって会話を聞いていたポン吉が、

シンシアの言葉をフォローして来た。


「コラッ!ポン吉!」

その顔を真っ赤にしながらシンシアがポン吉の口を押えた。


「へ~、美人受付嬢って職業の一つなんですね」

「でも、シンシアさんて本当に美人だから分かるよねシュウ兄ィ」


「あ、ありがとう御座います。」

まだ顔の赤みは残っているものの、

シンシアが観念かんねんした様に礼を言って来た。


「でも、天職が美人受付嬢なんてほこっても良いと思うんですけど、

何でシンシアさんは、そんなにかくそうと思うんですか?」

「そうだよね、何でだろう?」


「そ、それは、自分で美人と言うなんて恥ずかしいし、

他にも・・・」


「他にも何かあるんですか?」


「シア姉は建築業ギルドに入った頃に、

先輩の受付嬢たちにイジメられたんだよ」


「ポン吉!」

シンシアは、建築業ギルドの醜聞しゅうぶんとなるポン吉の発言をとがめた。


「何でシンシアさんにイジメなんて・・・そうか!

先輩たちは普通の受付嬢だったんですね?」

「ああ、シンシアさんをねたんだのか」


「そうなんだよ兄ちゃん達、

あいつらみんな、天職が普通の受付嬢とか事務職だったんだよ」


「そんな事をねたんだって仕方しかたいだろうにな、

天職って言うぐらいなんだから、自分で選べる訳じゃ無いんだし・・・」

「それで、イジメをしてた人達って今どうしてるの?」

ケンが、カウンターの広さの割には受付嬢が少なく感じるのを見ながら、

そう尋ねる


「先輩方は私の事が相当そうとう気に入らなかったみたいで、

私へのイジメに気付かれた上司の方が詰問きつもんしたところ、

私を首にしなければ皆でめるとおっしゃられて・・・」

「他のギルド職員の人達や、

その場に居合わせたギルド員の人達が「「「どうぞ、どうぞ」」」って言ったら、

怒って辞めちゃったんだよ」


「逆ギレして咄嗟とっさに出た発言だったんだろうにな」

「引っ込みが付かなかったんだろうね」


「はい、私もそう思ったので皆さんに考え直して下さいって、

お願いしたのですが聞き入れて下さいませんでした。」


「まあ、相手の当事者であるシンシアさんにそう言われても、

火に油を注ぐだけだからね」

「その人達の自業自得じごうじとくなんだから、

シンシアさんは気にする事は無いと思うよ」

「兄ちゃん達が言う通りだよ、

シア姉は、今まで通りにどうどう々と受付に座ってれば良いのさ」


「うん・・・そうね、

私が色々気にしたところで仕方が無い事なんだし、

気持ちを切り替えて業務ぎょうむはげむ事にするわ!」


「そうですシンシアさん、その意気ですよ、

それで話は初めに戻りますけど、

このオーブなんですけど、上に手を乗せれば良いんですか?」


「はい、お二人で順番にオーブの上に手を乗せて頂けますか?

そうすれば建築業ギルドのカードに記載きさいされる内容が、

オーブの表面にうつし出されてきますので」


「それって、どこまでの内容が出るんですか?」


「はい、お名前と年齢ねんれいの他には、

職業と所持しょじされていらっしゃるスキルなどですね」


「そのぐらいなら問題無いかな?」

「大丈夫なんじゃないのシュウ兄ィ」

シュウは、ケンに一応の確認をしてから、

カウンターの上で台座だいざに乗せられているオーブに、

てのひらを下に向けながらかさねた。

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