ゴッドネェチャン
前日、シュウが将来この世界で暮らしを送る時用にと、
商業ギルドで購入手続きを済ました元ローズハウス
その傷んだ家屋をリフォームする為の材料手配を、
その足で建築業ギルドへと向かい手配したシュウら一行は、
翌日に再び元ローズハウスを訪れていた。
「お~い!マリモ~居るか~」
商業ギルドで貰った鍵を使って金属格子製の門を開け、
色鮮やかな季節の花々が咲き乱れる庭園の中央に伸びる遊歩道を
館の方へと進んだシュウらは、
館の中央玄関の前で左手に曲がり歩を進め、
館の横にヒッソリと佇む自称・土地神マリモが宿った社の
前で声を掛けた。
「土地神であるマリモが、
何処かに出掛けてるなんて、ありえないのです!」
すると、シュウの呼び掛けに答える様に、
社の屋根の上にポン!と白い煙と共に現れたマリモが、そう告げる
「いいや、それは分からないだろ?
昨日、俺達が帰った後に、凄腕の退魔士とかが訪れて
お前が祓われちゃってるパターンとかも有るかも知れないじゃんか」
「だ~か~ら~マリモは悪霊じゃ無いのです!
この土地を守る、えら~い神様なのですから、
退魔士から敬われこそすれ、祓われるなんて事は
まかり間違っても、ありえないのです!」
「ハハハ、分かった分かった
ちょっとした冗談だよ、冗談。」
「む~、シュウは、マリモに対する扱いが軽過ぎるのです。
未来永劫に渡って、シュウや、その子孫達が暮らして行く
この館を守るマリモを、もっと大事にしなければ駄目なのです。」
「マリモちゃん、おはよ~」
「お早う御座います。マリモ様」
「おっす!マリモ」
傍らにて、シュウとマリモの遣り取りを見守って居た
ケン、ラビ子、ウサ太の3名も、マリモに挨拶の声を掛ける
「お早うなのです!
他の、みんなはシュウと違って良い子ばかりなのです!」
「おいおい、マリモの為にカッチョイイ鳥居を造りに来た
俺に対する扱いが酷いな~」
「マリモのお家の前に鳥居を造ってくれるのです!?」
「おう!館を手直しする為の材料が揃うまで少し掛かるみたいだからな、
その間に、俺達が持ってる材料で間に合う鳥居の方を、
先に建立しちまおうっていう話になったのさ」
「それは、すごくすごいのです!
シュウも、みんなと一緒に良い子の仲間に入れてあげるのです!」
「そうかそうか!そんじゃ俺も張り切って鳥居造りを頑張んなきゃな、
確か、マリモは赤い鳥居が良いって言ってたよな?」
「そうなのです!女神フェルナ様の所に遊び・・・修行で鍛錬で自己研鑽な感じで行った時に、
おっき~くて、カッチョイくてイケててイイ感じ?の赤い鳥居が立ってたのです!」
「別に、普通に遊びに行ってたでも良いだろ・・・」
「いいえ違うのです!
女神たるもの、常に自分に磨きをかける事にはげみ、
神格を上げて、えら~い女神へと至れるようにと努力を積まねば
ならないのです!」
「フェルナ様が、そう言ってるのか?」
「違うのです。
フェルナ様は『みんな~!明るく元気に過ごせば良いのよ~!』って
仰って下さるのです。
ガミガミと口煩いのは、『神界の巨人』と呼ばれ恐れられてる
『アッコ女神』様なのです・・・」
「おぉ~それはマジで怖そうな鬼・・・いや、女神様だな・・・」




